【奇跡が起きた!】譲渡会で出会った保護猫の誕生ストーリー|うちに猫がやってきた! #5

文・伊藤順子 — 2017.6.1
ananwebスタッフの筆者が保護猫2匹を飼い始めました! 猫との生活は、にゃんとも10年以上ぶり。その奮闘を綴ります。5回目は、うちの猫の生い立ち、キャットフードとお腹の関係をお話します。

【うちに猫がやってきた!】vol. 5
 

うちの猫は捕獲器生まれ

 これまで4回に渡り、猫の譲渡会や保護活動、我が家にやってきた猫のう〇ち騒動のことをお話しました。今回はうちの猫たちがどのように保護されたのか、保護してくれたTさんのお話をもとにお伝えします。

「この子たちは知らない人が触れてもシャーッってしないんですよ」。譲渡会で出会った子猫2匹を連れてTさんが自宅にやってきた日。息子(9歳)と娘(6歳)が恐る恐る猫たちに手を差し伸べようとしたときに、Tさんがおっしゃった言葉です。「シャーッ」とは威嚇するときに発する声のこと。威嚇は、敵と見なした相手より自分を大きく見せるために、全身の毛を逆立てて、牙と爪を剥き出し攻撃する姿勢です。確かに、彼らは見ず知らずの子どもたちがさわっても、おどおどと戸惑いを見せただけで無抵抗でした。Tさんは続けます。「捕獲器のなかで生まれたので外の世界をまったく知らない2匹なんです。普通、野良の子猫は、親猫が敵から身を守る方法を教えて、シャーッが身に着くのだけど、この子たちはその必要がなかったんですね」。シャーッは生まれつき備わっているものではないとは! その術を知らない猫もいることを初めて知りました。

出産が1日遅かったら命はなかった

Feline

うちの猫たちはなぜ捕獲器で生まれたのでしょう。Tさんに2匹の生い立ちをお聞きすると、奇跡がいくつも重なって生まれたことがわかりました。

猫の保護活動をしているTさんは、野良猫を見つけては、動物病院へ連れて行き、去勢・避妊手術をして元に戻すTNR活動をしていらっしゃいます(詳しくはこちら)。この活動により野良猫の数は抑制され、発情による騒音や糞尿の被害も減り、地域住民の方々も猫たちも平穏に暮らすことができます。手術費用や活動費は、Tさんのように保護活動をしている方や、主に餌やりをしてくださっている方(餌やりさん)などボランティアさんがほぼ負担されています。好きだけでは務まらないこの活動を、日々励まれている方々には本当に頭が上がりません。

猫を保護するには、偶然見つけることもあれば、猫が出没する場所にあらかじめ捕獲器を設置して保護する方法があり、うちの子の親猫は後者によって保護されました。捕獲器は大きなオリのようなもので、そこに餌を置いておびき寄せ、なかに猫が入ると扉が閉まるしくみになっているそう。「各地域の餌やりさんが捕獲器を設置してくれることが多く、その方々から猫の保護を頼まれるので車で何か所も回るんです。事前に妊娠していないかどうかのチェックをお願いして、妊婦の猫を最優先に病院へ連れていくのですが、この子たちの親猫を保護した餌やりさんは、どうしたことか妊娠に気づかなかったんですね。加えて、私が保護する順番がたまたま最後になってしまった。そのことも捕獲器での出産となったタイミングに影響していると思います」とTさん。

猫の妊娠期間は約2か月。お腹のふくらみは、最初の1か月は目立たないけれど、2か月過ぎてからは胎児が急激に育つので気づきやすいのだとか。「夜に保護して、私はひと目見て妊娠しているとわかりました。そして、夜間も受け入れてくれる動物病院へ運んだんです。それが22時くらい。でも、先生はもう帰られていて、翌朝手術を行うことになりました。だから、親猫はその捕獲器でひと晩過ごしたんです。そうしたら、朝先生が来るまでに4匹の子猫を産んでいましてね。猫が5匹に増えているんですもの。もうびっくりですよ!」。さらに「出産が1日遅ければ、残念ながら堕胎となっていましたし、逆に1日早かったら外で生まれていたので、過酷な環境のもと4匹が無事に育たなかったかもしれません。餌やりさんのミスが結果的に功を奏したんです。この子たちはこの時しかない、まさにどんぴしゃなタイミングで生まれたんですね」。

猫が出産するのに好む場所は、暗くて狭いところだそう。捕獲器はその条件にぴったりだったのでしょう。保護した場所に戻すことができないので、親子はTさんが引き取りました。このようにやむを得ない事情からTさんはすでに19匹もの猫を飼っていて、譲渡会へは頻繁に参加されていました。そして、ちょうどその親子が参加した会に、告知ポスターを見て心を動かされた私が訪れて、運命の出会いとなったわけです。いくつもの奇跡と縁が重なり、生まれた命。ほんの少しのズレが生じていたら、この世にはいなかったかもしれない命です。不安そうに身を寄せ合う猫たちを見ながら、命の尊さと儚さをあらためて感じ、共に歩むことをより強く決意した私でした。

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最初の写真は、生後3週間ほどのうちの猫たち。赤ちゃんですね~。次は、そこから少し大きくなった頃の4兄弟。主役を支えるかのように従えている2匹がうちの子たちです。大きいほうから先に生まれたようです。

う〇ち問題解決の糸口はキャットフード!?

とはいえ、前回お伝えしたう〇ち問題(記事はこちら)は本当に閉口しました。「いまは2匹とも便が緩いけれど、大きくなるにつれてよくなるはず」というTさんのお言葉を信じて、夜な夜な処理とケアをしていたわけですが、出口の見えないトンネルはとても長く感じました。1点の光が見えたとき、つまり少し固くなったう〇ちを見たときの嬉しさったら! 私なりに考える改善された大きな要因は、やはり成長とともに胃腸が整えられたことですが、キャットフードの効果も少しはあったのではと思っています。ここからは、私の独断と偏見によるものですが、胃腸の弱い猫ちゃんを飼われている方々に少しでも参考になればと思い書かせていただきます。

 Tさんは子猫と一緒にさまざまなキャットフードを袋いっぱいに持ってきてくださいました。スーパーでよく見るもの、ペットショップにしか置いてないもの、ドライ、ウエット……。おかげで私はいろいろなものを試すことができました。「ウエットはお腹がさらに緩くなるかもしれないのでいまはあげないほうがいいでしょう」とのTさんのアドバイスを受け、複数のドライフードを試した結果、良い兆候が見られたのはたったひとつでした。それはペットショップにしか置いていない海外のもので、未発達な子猫の消化器官を助ける消化性の高いたんぱく質とオリジナルの食物繊維の配合がウリ。Tさんのストックがなくなり、そのキャットフードを買いに行ったペットショップの店員さんも太鼓判を押すものでした。

店員さんいわく「実績も大事」とのことです。そのキャットフードの会社は50年近くの歴史があり、猫用フードを20年以上開発しています。ロングセラーはそれだけ支持されている証、選ぶ条件のひとつに入れてもいいのかもしれません。長く愛されているブランドはやはり材料にこだわっている。あくまでも、胃腸の弱い猫ちゃんだから気にする点であり、なんともない猫ちゃんでいえば、好みや年齢別、毛玉ケアなど用途別に合うものを選んでいいと思います。

 うちの猫たちのお腹に合ったキャットフードは味もマッチしているようで、今日もカリカリ、ムシャムシャといい音が聞こえます。いっぱい食べて、たくさん良いう〇ちをして、どうかどうか健やかに成長をしてほしい。2匹の母にもなった私は、抱っこするたびに重く感じる日々をとても楽しんでいます。

それでは、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。次回は、「うちの子が避妊・去勢手術を受けるとき」です。お楽しみに♪


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