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雇用も旅行客も増えて皆ハッピー? そうはいかない「IR推進法」

2017.3.5
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「IR推進法」です。
社会のじかん

経済効果は見込めても、ギャンブル依存症対策が手薄。

IRとは、カジノを含む、国際会議場や商業施設、大型ホテルなどの統合型リゾートのことです。昨年末に国会でIRを整備推進する法案が成立、施行されました。国は2020年にGDP600兆円を目標に掲げていますが、まだ100兆円近く足りません。成長戦略のなかで順調に成果を上げている観光業を伸ばしていこうと、統合型リゾートを作り、国際会議をもっと日本に誘致したい考えです。

国際会議に出席するのは富裕層なので、カジノやショッピングモール、スパなどを併設したり、劇場でショーを催せば多くの消費が期待されます。アジアではシンガポールがIR政策で海外から旅行客を呼び込むことに成功。大型施設を作って、雇用もたくさん生まれたんですね。

IRによって経済効果は期待できそうですが、問題視されているのはギャンブル依存症です。日本には競馬、競輪、競艇、宝くじなどの公営ギャンブル、遊戯施設のパチンコがあります。それらの依存症者は少なくないのに、国や自治体は昨年まで具体的な対策をしてこなかったんですね。

ニューヨーク州は1938万の人口に対して推定66万~100万人のギャンブル依存症者がおり、州は2億4000万円を依存症対策費にかけています。一方、東京都では、人口131 6万人のうち依存症者が推定50万人なのに、依存症対策費単独の予算はありませんでした。

海外では依存症対策として、ギャンブルの危険を教育・啓発したり、地域でカウンセリングサポートをしたり、専門医師を自治体が提供、支援したりしています。日本でもようやく2月に、マイナンバーを使った公営競技場への入場制限や、ギャンブル依存症の疑いがある人の入場を家族の申請で禁止できるなどの対策法案が提出されました。

4月には韓国の仁川に、日本の大手パチンコ・ゲーム会社セガサミーと韓国のパラダイス社の合弁による統合リゾート「パラダイスシティ」がオープンします。IRはもはや飽和状態なのではないかともいわれており、相当の付加価値をつけないと、日本のIRに客を呼び込めないのではと、心配する声もあります。IRに関してはまだまだ過渡期。問題は山積みなんですね。

堀潤
堀 潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

※『anan』2017年3月8日号より。写真・中島慶子 文・黒瀬朋子 (C)lucadp

(by anan編集部)


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