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作家・二宮敦人 行きつけドトールであだ名をつけられている?

2017.2.24
すごい人の脳の使い方はどうなっているのでしょうか。小説の達人の“頭の中”を探るため、お話を聞きました。

小説は、読者が喜ぶ理屈を紡ぐもの。

「お待たせいたしました。どうぞよろしくお願いします」と、待ち合わせ場所の古民家カフェに、時間ぴったりに現れた、作家の二宮敦人さん。その穏やかそうな第一印象からは想像できない、独自のこだわりを持っていた。

二宮敦人

「毎朝大体、朝8時半には起き、パソコンを持って近所のドトールへ。ブレンドコーヒーとモーニングセットを注文し、朝食を摂りながらメールチェックをすることから、仕事は始まります。何か仕事をやり残すのが嫌で、まずは小さい仕事から倒していき、最後に執筆という大きな仕事を前にしてやっと、さてやるか、って気分になる。小説を書き始めると深く集中して、そこから数時間は原稿を書き続けています。でも途中で突然集中力が切れ、飽きてくると一気に、めっちゃお腹すいた、トイレ行きたい、足痺れてた!っていろんな欲望に襲われて。それで13時、14時に家に帰って昼ごはんを食べ、原稿の出来や、その時のテンションによって昼寝をするか、また同じドトールに行って続きを書くか、ですね。毎日1~2回ドトールに行ってるので、僕、従業員から絶対にあだ名つけられていると思います。ヒゲメガネとか(笑)。ちなみに、ドトールにこだわっているわけではなくて、ただ家にいると無限に寝てしまうので、仕事にならない。それに、周りに知らない人のいる緊張感とか、雑音とか、そういうものがあった方が集中できるんです。執筆中は大体音楽を聴いていて、一度集中すると今度はうるさく感じて切ってしまうこともあるんですが、集中するための“入り口”になります。これは今に始まったことではなく、受験勉強も家でするより、自習室で音楽を聴きながらする方がはかどるタイプだったんです

雑音の中で音楽を聴きながら執筆する、というスタイルにも特殊なものを感じるが、さらに興味深いのは、音楽のジャンル。

「その時の気分で決めますが、J‐POP、アニソン、演歌、洋楽、クラシック、雅楽と何でも聴きます。大学時代に社交ダンスをやっていたので、サンバやタンゴも好きですね。ニコ動のゲーム実況を、音声だけ聞くということも」

目標は小説を毎日5Pページ書くこと。「達成しない日もありますが、達成できると気分がよくなって、夜散歩に行きます。 1 日の目標歩数は7500歩で、理想は1万歩。ちなみに家からドトールまで片道1296歩で、この歩数が毎日ずれないことが密かな満足になったり、幸せを感じたりします

習慣を守りながら、毎日5Pの目標を固く守るのには理由がある。「昔から、自分は生きてちゃいけないという思いがありました。というのも、子どもの頃から体が弱くて、しょっちゅう病院に運び込まれたり、死にかけたこともあって。そんな自分のせいで、親が苦労していたのを見てきたし、もし日本ではなく、貧しい国に生まれていたら、命を落としていたんだろうなって思います。だから大人になっても他の人に対する負い目というか、借金を背負っている感があって。それを返すためには、自分にしかできないことをしなければいけない、という考えに発展しました。僕の場合はそれが小説で、質が良い悪いは別として、自分の小説は自分にしか書けないだろうから、書いている限りは生きていけると思えるんです。だから読みやすさ、伝わりやすさを一番に意識して、ただ自分が書きたいことを書くのではなく、人のために、100%、読者の方を向いて書くようにしています。今も低気圧の日は体調が悪く、全体的に性能が低下します。アトピー持ちなんですが、体調が悪いとちょっと動くだけでも痛い。そうするとなかなか集中できないし、何食べても美味しくない。なんでこんな時に赤信号になるんだ、とか、青信号だから進まなくちゃいけないのは嫌だ、って何もかもが気に障ります。なんで働かなくちゃいけないんだ、って思うけど、小説書かないと死ぬしかないわけだから、そんな強迫観念から、嫌々5Pを目指して書き始めるんです(笑)」

にのみや・あつと 1985年生まれ。2009年『!』で小説家デビュー。昨年発表された『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』(新潮社)はベストセラーとなっている。

※『anan』2017年3月1日号より。写真・菅原景子 スタイリスト・高橋京子 ヘア&メイク・草場妙子 取材、文・若山あや

(by anan編集部)

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