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あの『パティシエ エス コヤマ』店主が語る「最新ショコラ事情」!

2017.1.14
本場フランスでも、日本のショコラティエたちは絶賛されているという。
チョコレート
兵庫県三田市の住宅街にパティスリーやパン工房、カフェなど『パティシエ エス コヤマ』ブランドの8つの店が集まる。その一角にあるショコラ専門店『ロジラ』は、大人が真剣に創る秘密基地がコンセプト。洞窟に隠された宝石が、チョコレートなのだとか。

ヨーロッパでも、昔から、いまのような口どけ滑らかで繊細なボンボンショコラが作られていたわけではない。40年ほど前までは、「ザラッとしたプラリネを硬いチョコレートで包んだものが主流だった」とは、『ミュゼ・ドゥ・ショコラ テオブロマ』の土屋公二さん。それを変えたのが、1977年、パリに誕生した『ラ・メゾン・デュ・ショコラ』だといわれている。

翻って日本。明治初期にチョコレートが販売されてから、多くの人にとってのそれは、長い間、大手メーカーの板チョコやチョコレート菓子だった。’72年にベルギーの老舗『ゴディバ』が上陸。高級チョコレートの存在が知られるようになったものの、フランス菓子のようには進化しなかった。そこに風穴をあけたのが、『ラ・メゾン・デュ・ショコラ』に影響を受けた日本人ショコラティエたち。土屋さんは渡仏中にそのボンボンを口にし、ショコラティエを目指すことになる。『オリジンヌ・カカオ』の川口行彦さんはそこで修業を積んで、日本初のショコラトリーのシェフになった。『ショコラティエ・ミキ』の宮原美樹さんは、’98年に日本に上陸した同ブランドのショコラがきっかけで、この道に入った一人だ。

果たしてショコラをメインにやっていけるのか。それぞれに不安を抱えながらも、バレンタインデーや2003年に日本で初開催された「サロン・デュ・ショコラ」などを足掛かりに、日本のショコラを切り拓いてきた。元来、繊細な仕事を得意とする日本人のこと。世界的なコンクールでも実績を重ね、日本初の専門店が誕生してから30年を待たずに、瞬く間に世界と肩を並べるまでになった。その情熱たるや…。原料となるクーベルチュールを、わが子のように語る『マ・プリエール』の猿舘英明さんや宮原さんは、毎日、飽くことなく、チョコレートに向かう。土屋さんは早くから世界各地のカカオ農園を訪れ、支援してきた。そして、『岡田美術館チョコレート』の三浦直樹さんは、屏風絵を表現し、なんと松茸や安納芋もボンボンにしてみせる。日本のショコラティエたちは、いまや日本ならではのショコラを創造し、世界を刺激する存在にまでなっている。

そんな日本を代表するショコラティエのなかから、ここではパティシエ エス コヤマの小山 進さんにお話を伺いました。

チョコレート
こやま・すすむ 2003年に『パティシエ エス コヤマ』を開店し、2012年にはショコラショップ『ロジラ』をオープン。2011年の「サロン・デュ・ショコラ パリ」出展を皮切りに、海外のコンクールでも活躍を続ける。

仏のショコラ愛好家クラブ「C.C.C.」で、初出品から6年連続して最高位を獲得。日本を代表するショコラティエの一人、小山 進さん。「最初は、抹茶など和素材をどう合わせるかに注目が集まったけれど、年々、日本で暮らす僕が切り取る、海外では未知の味に期待が高まっていると感じます」

寿司やフレンチの一品にも、街で鼻をくすぐる金木犀の香りにも、ショコラ創りのヒントを見いだすという。頭の片隅には常にショコラ。そして1年で200近く溜まったアイデアを、100種以上のクーベルチュールと組み合わせてイメージを膨らませ、一気に作品を仕上げる。今シーズンの新作は、発酵や熟成を経て生まれる味わいや香り、水滴や風を表現したデザインまで、自然の恵みや力を吹き込んだものとなっている。また小山さんは、カカオの個性を把握してショコラを創りあげる職人“カカオティエ”でもある。「いま面白いと思うのは、1層のガナッシュでも味わいに立体感があるもの。カカオそのものの可能性にも、より深く向き合いたいですね」

チャンチャマイヨ産カカオ×金木犀など、料理とワインのペアリングのように、口の中に様々な味が広がり、余韻にも違った表情を見せるショコラ。それは日本人にとってもまた未知の味であり、小山作品の醍醐味ともいえるのだ。

チョコレート
手前の左2つはススム コヤマズ チョコロジー 2016 4種入り¥1,728より。奥から、ドライにしたコーヒーの果肉を合わせた「コーヒーチェリー(ゲイシャ)&ライチ」、瞬間高温高圧プレスした奈良漬とパッションフルーツを合わせた「奈良漬プラリネ」。右2つはススム コヤマズ クリエイションインターナショナル チョコレート アワーズ 2016 4種入り¥1,620より。手前から、ペルー・チャンチャマイヨ産ショコラ・ノワールと金木犀の「金木犀×チャンチャマイヨ63%」、1年熟成の酒粕を使った「酒粕(一年熟成)」。奥は代表作より。右から、「ダブルバニラ」「黒大豆醤油」「抹茶」各¥270 。
こやま・すすむ 2003年に『パティシエ エス コヤマ』を開店し、2012年にはショコラショップ『ロジラ』をオープン。2011年の「サロン・デュ・ショコラ パリ」出展を皮切りに、海外のコンクールでも活躍を続ける。

PATISSIER eS KOYAMA パティシエ エス コヤマ 兵庫県三田市ゆりのき台5-32-1  TEL:079・564・3192 10:00~18:00 水曜休(祝日の場合は翌日休)

※『anan』2017年1月18日号より。写真・吉村規子 取材、文・齋藤優子 大和まこ(PATISSIER eS KOYAMA)

(by anan編集部)