中毒性のある楽曲と強いメッセージ 不朽の名作「RENT」が来日!

2016.12.15
誕生から20年。元気と勇気をもらえる、伝説のミュージカル「RENT」が来日!
ファンの間で人気の初演演出のなかでも、とくに傑作と呼び声の高いシーンが、マークやロジャーら仲間たちがカフェに集うこの場面。楽曲の魅力もさることながら、ここでのダンスも素敵で、ついつい一緒に踊りたくなる。The Company of the RENT 20th Anniversary Tour RENT 20th Anniversary Tour, Credit Carol Rosegg, 2016.

傑作と呼ばれるミュージカルには、当然のことながら名曲が多い。あのスーザン・ボイルが有名になるきっかけをつかんだ「夢やぶれて」は、『レ・ミゼラブル』の曲だし、某ビールのCMでおなじみの「ONE」は『コーラスライン』だ。単にドラマを盛り上げるだけじゃなく、一度聴いたら耳から離れないキャッチーさもあるから劇場を後にした時に思わず口ずさめて、舞台の余韻に浸らせてくれる。

『RENT』もまた、そんなミュージカルのひとつ。しかもこの作品のすごいのは、耳に残るメロディがひとつじゃないというところ。かつて缶コーヒーのCMソングにも使われたゴスペル調の「Seasons of Love」は紛れもない作品を代表する曲だけれど、タイトル曲である「RENT」のロック調のリズムは冒頭から舞台を盛り上げるし、セクシーでパワフルなダンスを踊りながら歌う「Out Tonight」のカッコ良さといったら…。この他にも、ディスコやR&B、タンゴなど、さまざまなタイプの曲が詰め込まれているものだから、一度触れるとあらゆる感覚が刺激される、クセになる作品なのだ。

ナイトクラブのダンサー・ミミの挑発的なダンスは、セクシーな上に同性から見てもワイルドでかっこいい。こんななのに、内面はピュアな寂しがりやというギャップも魅力。
道端で出会い、恋に落ちるドラァグクイーンのエンジェル(左)と大学講師のコリンズ(右)。お互いを想い合うカップルの姿は、観ているうちに応援したくなること必至。

この『RENT』がオフ・ブロードウェイの小さな劇場で初演されたのは1996年のこと。そこから瞬く間に人気を獲得してブロードウェイの大劇場に進出し、世界各地で上演されるミュージカルになったのも、それだけ楽曲に中毒性がある証拠。ただ、世界中にレントヘッドと呼ばれるほどの熱狂的なリピーターのファンを生み出し、次から次へと刺激的な新作が生み出されるいまもなお多くの人から熱い支持を受けているのは、素晴らしい楽曲に加えて、国や人種、文化の違いを超えたシンプルで強いメッセージがストレートに届くから。

舞台に登場するのは、ニューヨークのダウンタウンに暮らすボヘミアンたち。金がなく、あるのは夢と志だけ。そんな彼らが、巨大資本による権力、差別や偏見、そしてHIVという病といった世の中のあらゆる理不尽に対して立ち向かっていく。彼らのようなアーティストじゃなくても、彼らほどに貧しくなくても、深刻な病にかかっていなくても、自分の思い描く生き方とどうにもならない厳しい現実との間で悩んだり迷ったりしたことのある人ならばきっと共感できるし、苦しんだり傷ついたり、打ちのめされたりしながら、それでも戦おうとする姿に励まされるはず。

この作品のMC的役割を担う映像作家志望のマーク(右)と同居人の元人気ロックバンドのボーカル、ロジャー(左)。家賃(=レント)が払えなくても、心にはロック魂が。

今回は、初演から20周年を記念してのアニバーサリーツアーカンパニーが来日。ファンの間で話題なのは、初演時大絶賛されたオリジナル演出で上演されるということ。というのも、この20年間で『RENT』は少しずつ演出が変わっていて、いま初演の演出で観られるのはかなり貴重なため。とくに傑作と評判の高い初演版だけに、この機会に絶対観ておきたい。

12月15日(木)~31日(土) 有楽町・東京フォーラム ホールC S席1万3000円 A席1万1500円 B席1万円ほか(すべて税込み) 特別料金の公演日あり。キョードー東京TEL:0570・550・799 
http://rent2016.jp/

※『anan』2016年12月21日号より。文・望月リサ

(by anan編集部)