もし北朝鮮が軍事行動に出たら? 温度差感じる日本の危機管理

2017.11.24
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「北朝鮮と近隣諸国」です。

隣接国と比べると日本はのんびりしすぎかも?

社会のじかん

朝鮮民主主義人民共和国は核実験や弾道ミサイル発射を頻繁に行い、アメリカへの挑発行為を加速しています。日本の上空を弾道ミサイルが通過したこともあり、緊迫した状態が続いています。9月の国連安全保障理事会では、それまで消極的だったロシアや中国も賛成にまわり、9回目の制裁勧告は、これまで以上に厳しい経済制裁を課すことを全会一致で決めました。

金正恩委員長の動向は、関係の深い中国でも読めないそうです。上海で話を聞いた中国人実業家は、北朝鮮から早々に事業所を引き揚げたと語っていました。中国の望みは戦争回避。戦争になれば、多くの難民が中国に押し寄せますし、万一核兵器が使われたら、中国本土も汚染被害に遭います。いまの中国は経済成長が最優先なので、安定した情勢であることが必須なんです。

韓国はさらに緊張状態にあります。国境からソウルは、30kmくらいしか離れていないので、攻撃を受けたら通常兵器でも火の海に。そのため、官公庁エリアの地下鉄の入り口は広くスロープ状で、大勢の人が逃げ込めるように造られています。また、駅構内の各所に防毒マスクや非常用食料が備えられ、車内モニターでは、マスクの使い方や避難方法が流れるなど、日常的に有事に備えています。

ロシア政府筋とのパイプを持つ政治家によると、安保理の警告を聞かない金正恩に、プーチン大統領は苛立っている。朝鮮半島にパイプラインを通し、韓国や日本に天然ガスを直接売る将来像を描いていましたが、このままの態度なら、アメリカが北朝鮮を侵攻しても黙認するのでは? とも。

ただ、韓国には軍関連のアメリカ人が20万人以上いるので、彼らを避難させないうちはアメリカもむやみに攻撃できないだろうといわれてきました。しかし、動向が読めないのはトランプ氏も同じ。先日、大統領が来日し、安倍総理と会談。挑発行為をやめない北朝鮮に対して追加制裁を決定。35団体・個人の資産を凍結することに。このままアメリカと共に日本も高圧的な態度を取るのが最善なのか。有事対策準備はなされているのか? 他国との温度差を感じずにはいられません。

堀潤
堀 潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

※『anan』2017年11月29日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)


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