――今年の展覧会の多さに、とにかく驚きました。
荒木:なんでこんなに多くなっちゃったかっていうと、アタシがそろそろ死にそうだから、最後にまとめておかなくちゃ…なんて思ってやってるわけじゃないんだ。誤解すんなよ(笑)。でも今、何を見ても、何を撮っても良いんだ。なんでも素敵なんだよ。ファインダーの中が、楽園なんだよな。だから今アタシは絶好調で、1日最低フィルム3本は撮るからね。デジタルで撮ってるヤツより、俺のほうがシャッター押してる数、多いからね。それで、なんかアタシがそういうふうに盛り上がっているときって、周りも勘が良くてさ、気がついて、いろいろ企ててくれるわけだよ。今年はそれが集中しちゃってね。
――依頼があるもの、すべてを受けられるんですか?
荒木:そう。すべてを受けてたらこんなことになっちゃった。でもさ、アタシは興味あるものはなんでも撮るわけ。例えば女だったら、美人じゃなくたって、その人の個性ってものがある。だから俺は、全部受けて立つ。もうずっと、そういうふうにしてやってきたからね。生きるっていうのは、周りの人が決めてくれるものなんだよ。まあ俺の場合は神だけどね。写真の神と、あとは女神ね(笑)。俺は本当に女の人に人生助けられてる。
――最近それを実感したことは、何かありますか?
荒木:今年、伊勢丹新宿店で、<後期高齢書>ってタイトルで、書の展覧会をやったわけ。そこでさ、“かきわけても かきわけても陰毛”っていう書を飾ってくれたんだけど、伊勢丹側の人たち、女性のほうが全然ノッてたからね。あと去年、パリにあるフランス国立ギメ東洋美術館でやった展覧会も、キュレーターが5年も美術館に“やりたい”ってかけあってたらしいんだけど、館長が女性に代わった途端、急にOKが出たんだって。それから前にイタリアで写真展やったときに、バチカンがすごい物言いをつけてきて、新聞に載ったりしたわけ、猥褻だとかって。でもそのときのイタリアの外務大臣が女性でさ。見に来てくれて、「猥褻? 何言ってんのよ!」って一喝して、セーフ(笑)。女のほうが絶対物事をわかってるんだよ。だから男は女に従ってればいいんだ。だから俺はずっと、女の言うとおりに生きてるんだよ。
――荒木さんを応援する女性がそれだけいるということは、荒木さんにも女性に好かれる要素が多分にあるということなのでは…。つまり、モテますよね?
荒木:モテるかどうかは知らないけどさ、女ってすごくストレートじゃない? 回りくどくない。本能のままに生きてる。だから俺みたいな、真実だとか、あるいは嘘の真実だとか、そういうのを直撃する、みたいな感じが、女性にとっていいんじゃないの? 女はわかってるんだよね、人生は切実じゃない、すべては“当たり前”でできてるってことが。そこは敵わないよ。
【人気記事】
※ケンカしたら最後!? 怒らせるとこわ~い血液型は?