藤原竜也、演出家・長塚圭史の“やり方”に驚く??

エンタメ
2017.08.12
劇作家・演出家+俳優の、刺激的で新たな出会い。シアターコクーン・オンレパートリー2017『プレイヤー』に出演する藤原竜也さんに話をうかがいました。
俳優

昨年の映画『太陽』、今年9月公開の『散歩する侵略者』と、いまや演劇界のみならず、その作品が高く評価されている前川知大さん。その前川さんの戯曲を、これまた傑出した才能で新たな演劇の可能性を開拓し続けている長塚圭史さんが演出。このふたりの劇作家・演出家の刺激的なタッグに出演する藤原竜也さん。

「僕のなかで、昨年、蜷川(幸雄)さんが亡くなったのはすごく大きいことなんですよね。それこそ、まだ自分が何者でもない時からずっと存在していた正確な秤を失って、これからどっちに進んでいったらいいのか、自分で考えていかなければいけなくなった。もっと広い世界、いろんな演出を見て吸収した方がいいと思う、そんなタイミングで長塚さんや前川さんという才能を持った方々とやらせてもらえる。僕がこれまでやったことがなかったようなタイプの作品ですし、35歳になって新しい気持ちで挑戦できることがありがたいし、ワクワクしますよね」

同じ演劇というジャンルではあるけれど、長塚さんの稽古場は、戯曲へのアプローチの仕方から時間の使い方まですべてが新鮮だと話す。

「蜷川さんの現場では、稽古初日までにみっちり台本を読み込んできて、集まった日からすぐに立って動いて、というのが当たり前だったんですが、今回は、最初の2週間ほどはテーブル稽古で、ここのセリフを発する意味は…と話し合ったり、皆で戯曲の答えを見つけていく時間がありました。そこには前川さんも同席していたんですが、作家の目の前で戯曲の解釈を話し合うのは長塚さんにとっても挑戦なんじゃないかな。それに、稽古の前のゲーム(形式の稽古)というのもとても新鮮でしたね」

また、「僕が背負ってきた世界観や演劇的な技術を取り除いて、いい意味で楽にさせてくれている」とも。

「長塚さんは『ご主役をいろいろやられてきた方ですけれど、そういう責めたり当てたりする芝居はしなくていいです』とか、『王室のシーンをたくさん演じてこられたとは思いますが、ここはいわゆる地方の公共劇場で、売れかけの俳優という設定ですので、ご理解ください』とかおっしゃるんですよ。言われるたびに、言い方…って思ってますけど、稽古場を盛り上げてくれてます(笑)」

物語の舞台は、地方の公共劇場。そこで上演される舞台の稽古のために集められたメンバーが、とある戯曲を演じていくうち、その劇中の世界に取り込まれていくというもの。

「僕らの仕事って、劇作家の言葉を自分の肉体を使って現代のお客さんに伝える役割。寺山(修司)さんの言葉を肉体化させることに必死になっていた若い頃には、戯曲の世界に自分自身を没入させるしかなくて、それは、どこか死者の言葉に取り込まれていくのと近い感覚だったのかなと思うんですよ。ただ、少しずつ経験を積んで、いまは役に没入しながらも、同時に冷静に見つめる自分もいる。そういう僕らの日常と、劇世界とをリンクさせながら、最終的に思いもよらない世界を見せてくれるのが今回の作品。稽古をすればするほど、面白くなっていってます」

ふじわら・たつや 1997年に蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』でデビュー。現在、主演映画『22年目の告白‐私が殺人犯です‐』が大ヒット中。主演ドラマ『リバース』のDVD&Blu-rayは10月25日発売。

地方都市の公共劇場で、『PLAYER』という戯曲が上演されることになった。劇中劇と稽古場の2つの世界が行き来するうち、次第にその境目が曖昧になって…。8月4日(金)~27日(日) 渋谷・Bunkamura シアターコクーン 作/前川知大 演出/長塚圭史 出演/藤原竜也、仲村トオル、成海璃子、シルビア・グラブ、峯村リエ、高橋努、安井順平、村川絵梨、長井短、大鶴佐助、本折最強さとし、櫻井章喜、木場勝己、真飛聖 S席1万500円 A席8500円 コクーンシート5500円*すべて税込み Bunkamura TEL:03・3477・3244 大阪、静岡公演あり。
http://www.bunkamura.co.jp/

※『anan』2017年8月9日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・小林 新(UM) ヘア&メイク・赤塚修二(メーキャップルーム) インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)


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