藤木直人「もともと緊張しぃで、突発的なハプニングに弱い」

エンタメ
2017.07.01
ドラマ『母になる』での不器用な理系男子っぷりが話題となった藤木直人さん。前クールの『嘘の戦争』では主人公と対立するエリートを、昨年ヒットした『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』 では毒舌な恋愛マスターと、本人のスマートで二枚目というイメージとは少しズレた癖のある役が続いている。
藤木直人

「僕自身、中身がまるで二枚目じゃないので、逆にストレートな二枚目を演じることのほうが難しいのかもしれません。癖のある役をいただくことが増えたのも、僕自身に周りの人たちが物足りなさを感じているからなのかも…なんて思ったり(笑)。ただ、それを面白がってくださる方がいるのは素直にありがたいなと思っています」

その藤木さんが、今度は“魔都”と称されたかつての上海に降り立つ。第二次世界大戦前夜を舞台にした音楽劇『魔都夜曲』で演じるのは、諸国遊学後、上海に赴任した御曹司。世情が大きく変わろうとする時代に、中国と日本、両方の血を受けた女性・紅花と知り合い、恋に落ちる。

「当時、実際にあった出来事がモチーフになっています。80年前というと、ついこの間というほどではないけれど、それほど昔でもない時代なわけですよね。そんな時代にギリギリのところで生き、上海の女性と激しい恋をした人がいたんだと思うだけで、とても興味深いですよね」

舞台出演はこれが4作目となるけれど、「いまだに、自分がそこに立っている想像がつかない」と苦笑い。

「テレビドラマを中心にやってきた僕からすると、撮り直しがきかない世界で、2時間…作品によっては4時間近くほぼノンストップで演じ続けるなんて…。何かで集中が途切れて我に返った瞬間、セリフが全部飛ぶんじゃないかと、想像しただけで緊張します。怖いですよね」

藤木直人

本人はそんなふうに言うけれど、出演2作目となった舞台『海辺のカフカ』では、蜷川幸雄さんの演出を受け、海外公演も経験している。次の『尺には尺を』は、公演直前に蜷川さんが亡くなり、直接の演出を受けることはなかったけれど、いわば“蜷川組”の一員でもあるわけだ。

「たしかにそう言われるとそうなんですが、当時、蜷川さんは僕にとても気を使ってくださって、厳しく稽古をされることもなかったんです。ただ、次々と繰り出されるアイデアを、その場ですぐ形にしていく蜷川組の方々と一緒にやらせていただいて身についたものはあると思います。その経験に恥じないよう頑張らなければとは思っています」

なんと『~カフカ』のNY公演では、一瞬セリフが出てこなくなるという冷や汗ものの経験もしたとか。

「僕は基本、ドラマの現場であっても、間違えたくないし、焦りたくないんで、セリフは事前に全部入れています。それは、もともと緊張しぃで、突発的なハプニングに弱いからなんですが(笑)。過去の作品で、ある俳優さんが2ページ以上もセリフを飛ばした日があったんです。でも、慌てずそれっぽいセリフで繋ぐリカバーが素晴らしかった。あの舞台度胸はぜひ見習いたいと思います」

ふじき・なおひと 俳優として数々のドラマや映画に出演する傍ら、’99年からは歌手活動もおこなっている。7月にシングル『Speed★Star』をリリースし、全国ツアーも控える。

カーディガン¥16,000(オムニゴッド/オムニゴッド代官山 TEL:03・5457・3625) カットソー¥10,000(ミュラー&ブロス/ナッ プTEL:0867・34・1117) パンツ¥11,000(ステュディオス/ステュディオス 原宿本店 TEL:03・6712・6851)

清隆(藤木)は、遊学中に降り立った上海の地で、志強(小西)と紅花(マイコ)の兄妹と知り合う。しかし、ふたりにはある秘密があった。そんな彼らに歴史の波が押し寄せる。7月7日(金)~29日(土) 渋谷・Bunkamura シアターコクーン 作/マキノノゾミ 演出/河原雅彦 出演/藤木直人、マイコ、小西遼生、壮一帆、松下洸平、山西惇、村井國夫、橋本さとしほか プレミアムシート1万5000円 S席1万1000円 A席8500円 コクーンシート5000円*すべて税込み キューブ TEL:03・5485・2252(月~土曜12:00~18:00) 愛知、大阪公演あり。

※『anan』2017年7月5日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・古田ひろひこ ヘア&メイク・大渡八千代 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)


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