「忘れられる権利」はあるが…永遠に消せないネット情報に注意!

2017.5.18
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「忘れられる権利」です。
社会のじかん

永遠に消せないネットの情報。画像には厳重注意。

「忘れられる権利」とは、プライバシーを守るため、インターネット上にあがった個人情報を検索結果から削除することを求めることができる権利のことです。たとえば、犯罪履歴。過去に起こした犯罪が、罪を償ったあとも、いつまでも履歴に残れば、社会復帰に支障をきたしてしまいます。犯罪被害に遭った人の場合も同様ですね。

インターネットにあげられた情報は「デジタルタトゥー」と呼ばれているように、完全に消し去ることはできません。2011年、フランスの女性が、若いときにアップしたヌード写真が拡散、様々なサイトで転載され、検索すると実名とともに出てしまうことに対し、Googleに削除を請求。EUの司法裁判所が認める判決を下したことが、「忘れられる権利」が認められた世界で最初の事例となりました。

「忘れられる権利」に対して、「知る権利」や「表現の自由」があります。「忘れられる権利」を容易に認めると、これらの権利が侵害される可能性も。知る権利とプライバシーの保護のどちらを優先するか、そのバランスはとても難しい問題です。

日本では、過去に児童買春の罪で罰金刑を受けた男性が、検索結果の削除を求めました。最終的には最高裁判所で、「知る権利」よりもプライバシーの保護が上回る事案では削除するべきだが、このケースは明らかにプライバシーが優先されるとはいえないと、削除を認めない判決が下されました。

たとえ認められたとしても、Googleなど検索エンジンは検索結果から削除するのみで、元記事を消すわけではないので、情報は完全には消えません。最近は「リベンジポルノ」の問題も深刻化しています。元恋人や元配偶者が、別れた腹いせに、わいせつな画像や動画をネットにあげていやがらせをするというもの。また、自分のスマートフォンがハッキングされ画像が流出、個人名がつきとめられ、脅迫を受けるケースもあります。年々増加する「児童ポルノ」の被害も、4割は自撮りといわれています。とにかく、流出して困るような写真は絶対に撮らない、撮らせない、データにストックしないようにしましょう。

堀 潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

※『anan』2017年5月24日号より。写真・中島慶子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)


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