志村 昌美

【歳を取るのは怖くない!】人生の秘訣がつまった感動作『はじまりはヒップホップ』キャストインタビュー!

2016.8.25
あなたはどんな風に年齢を重ねていきたいですか? 誰もが生涯現役でいたいと思う反面、歳を取れば取るほど、可能性もどんどん減っていくとつい否定的になりがち。そんな思いを抱いている人にオススメしたいのは、最強のおじいちゃんおばあちゃん軍団の真実を映し出した話題作です。それは……。

心踊る注目のドキュメンタリー『はじまりはヒップホップ』!

【映画、ときどき私】 vol. 49

ニュージーランドの東部にある自然豊かなワイヘキ島。人口8000人の静かなこの島で、世間を騒然とさせる「ヒップ・オペレーション・クルー」という世界最高齢ダンスグループが誕生した。何よりも驚くべきことは……。

なんと、ヒップホップダンスに挑戦している彼らの平均年齢は83歳!

最年長となる94歳のスターダンサーをはじめ、超個性派のメンバーたちは、慣れないリズムと思うように動かない体に苦戦しつつ、振り付けを覚えていた。すると、そんな彼らにある目標が提案されることに。それは……。

ラスベガスで行われる世界最大のヒップホップダンス選手権への出場!

無謀とも思えるチャレンジにも関わらず、問題を一つ一つ克服していくメンバーたち。はたして、無事にラスベガスへの切符を手にすることはできるのか……?

そこで、今回は誰よりもこの映画の内情に詳しい方々にお話を伺うことに成功しました。

なんと、「ヒップ・オペレーション・クルー」のメンバーに直撃!

それぞれのシャウト顔、最高です!
それぞれのシャウト顔、最高です!

今回、来日をはたしたメンバーは、右からジャックさん(85歳)、ブレンダさん(83歳)、マリーさん(72歳)、レイラさん(72歳)、レンさん(75歳)の5人。お揃いの衣装でバッチリ決め、ヒップホップ魂とともに気合十分の彼らにそれぞれの思いを語ってもらいました。

まず、この活動についてご家族はどう思っていますか?

ジャックさん みんなもすごく喜んでいて、手厚くサポートしながら応援してくれています。特に、ひ孫たちは「おじいちゃんとおばあちゃんがヒップホップを踊ってるなんてすごーい!」って言ってくれていますね。

この年齢で映画に関わるとは考えてなかったと思いますが、参加した感想は?

ブレンダさん 一瞬たりとも飽きないとても楽しい経験になりました。今回の映画では、私たちよりも年齢が少し上の方たちの人生やストーリーを中心に語っているので、私たちは背景に映っているくらいですが、それでもプレミアに行ったり、誰よりも先に作品を観ることができたり、とてもいい思い出になりましたね。

もともと、これら一連の活動を始めたのは、マネージャーであり振付師でもあるビリーさんという1人の女性。映画では、彼女が奮闘する様子も映し出されており、その姿には誰もが胸を打たれるはず。

ビリーさんはみなさんにとってどんな人ですか?

レイラさん ビリーは褒めても褒めきれないくらい素晴らしい女性です。とても聡明だし、彼女のようなことをやる人は世界に2人といないと思います。お年寄りを相手にダンスを教えるとは相当大変なことだと思いますが、声を荒げたり、怒ったりすることは一度もなく、最初から最後まで励ましてくれて、それぞれのいいところを引き出してくれました。
彼女は一銭ももらわずにボランティアでやっているのですが、それでもこんなに一生懸命働いてくれるので、これだけのことを成し遂げたビリーを誇りに思っています。

そんな彼女と一緒だったからこそ、メンバーが一丸となって目標に向かうことができたのもうなずけますが、とにかく元気いっぱいのみなさんは、どんどん高齢化が進む日本人にとっては、お手本のような存在。

新しいことに興味を失わずに生きていくために必要なことは?

マリーさん いつもしていることをずっと淡々とやっていくのではなく、そういうところから飛び出していって、慣れないことに手を出していくことですね。シニアであっても、歳を取りすぎているからといって出来ないことは一つもありません。
心や頭はいつまでも若々しく保てるものなので、「できない」という言葉を自分の辞書に持たずに、何でもやってみること。大変だったり、やりにくいこともあるかもしれませんが、果敢に挑戦していくことが充実した人生を送るカギですね。

私もダンスチームを組んでいたことがあるので共感しましたが、みなさんが夢中になっているダンスでは、仲間と一緒に目標を成し遂げる喜びや大変さなど、普段味わえないような経験もあると思います。

ご自身の考え方に変化はありましたか?

レンさん まず、踊りそのものが色んな意味で私を救ってくれています。というのも、踊り始めたことで視点が変わったんですよ。ダンスフロアーに出たときには、余計なことを考えている暇がないので、いろんな心配事やストレスから解放されますし、やっぱり体や頭を使ってこういう活動するということはとてもいいことだと思います。ダンスはいくつになっても挑戦するべきことですね。

本作では、10代のヒップホップダンサーたちと交流するシーンも見どころで、年齢を超えた友情に思わず込み上げてくるものがありますが、お互いにとっても刺激的な出会いだったはず。

若者と触れ合ってみていかがでしたか?

ジャックさん 人生観が変わったというよりも、みんなと交流していくことでいつまでも若々しい気分でいられるということはありますね。あと、ダンスで体を鍛えたらゴルフのスコアも上がるかなと思ったけど、それは違いました。(笑)

年齢に関係なく、とにかく気持ちが若いみなさんとは対照的に、日本は何よりも年齢を気にする国なので、30代になることでさえもネガティブに感じている女子がいるのも事実。

みなさんのように、いくつになっても前向きでいるためのアドバイスをください!

ブレンダさん 30代でそう感じるなんて信じられないわ! でも、そんなことに落ち込んでいたら人生を無駄にしてしまうから、「とにかく外に出ていろいろと活動しなさい」と言いたいですね。仕事や子育てをしているかもしれないので、大変なのはわかるけれど、30代ならできることもたくさんあると思いますよ!

ワイヘキ島の方は、元気で長生きの方が多いようですが秘訣は? 

レイラさん ワイヘキ島はとにかく美しくて、どこにいっても絶景だし、ビーチもあるし、みんなのんびり過ごしているので、パラダイスみたいところなんですよ。海を隔てたオークランド(ニュージランド最大の都市)までフェリーで35分なんですが、それでも生活のペースは全然違います。
もちろん、東京に比べたらすごく小さい街ですが、お店の外で駐車場が見つからなかっただけでもイライラしちゃうような生活なんです。それに比べてワイヘキ島では、毎日海辺にも行けるし、たくさん心の栄養を得られるので、それが秘訣なのかもしれないですね。

ジャックさん だからワイヘキ島のみんなは寿命が4年長いんだよ!(笑)

日本の観客に向けてメッセージをお願いします。

マリーさん 「年齢なんて関係ないし、どんどん新しいことに挑戦していくべきなので、いろんな障害とかも気にする必要はない!」ということを言いたいですね。例えば、「ある程度歳を取ったらホームに入るべきだ」とか「周りが面倒を見るべきだ」という固定観念がありますが、そういうことではなく、やりたいことがあればやればいいし、「とにかく夢を追え!」ということだと思います。

インタビューを終えてみて……。

ラブ&ピースのポーズもとにかくカワイイ!
ラブ&ピースのポーズもとにかくカワイイ!

ご夫婦で仲睦まじく参加されているジャックさんとブレンダさん、ダンスを始めてから自信がついて人前で講演をするようにまでなったというレイラさん、内に秘めた熱い気持ちを語ってくれたマリーさん、以前は人に隠れて踊っていたけれど今では最前列で踊りを楽しんでいるというレンさん。

とにかくお茶目でステキなみなさんからは、お互いをいたわりあうチームワークも伝わってきて、これが「ヒップ・オペレーション・クルー」の強さなんだなと納得。70代、80代になっても、子どものようにキラキラした瞳と溢れるパワーを持つ姿に元気を頂きました。

歳を取るって楽しい!

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人生の大先輩たちが教えてくれるのは、いくつになっても今の瞬間を全力で楽しみながら生きることの大切さ。その思いを全身で伝えてくれる彼らの姿に、笑いも涙も止まらなくなる最高のドキュメンタリー。

ヒップホップのリズムに合わせて送られてくる勇気と感動をぜひ心で感じてください。彼らに負けていられないと、きっとあなたも新たなステップを踏み出したくなるはずです!

作品情報

『はじまりはヒップホップ』
8月27日(土)、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
配給:ポニーキャニオン
© 2014 Rise And Shine World Sales / Inkubator Limited / photo_Ida Larsson

http://hajimari-hiphop.jp/