カサンドラ症候群って?〜アスペルガー症候群の人が身近にいる方へ〜

文・七海 — 2017.2.24
カサンドラ症候群という言葉を聞いたことがありますか? これは、アスペルガー症候群の人が配偶者またはパートナーである場合に発症してしまう病気です。アスペルガー症候群は、いわゆる ”定型発達” とは特性が違います。身近にアスペルガー症候群の人がいる方が楽になればという思いです。

カサンドラ症候群の原因と症状

私自身アスペルガー症候群ですが、今までのパートナーにとても迷惑をかけてきたのではないかと感じています。アスペルガー症候群は、発達障害を持たないいわゆる ”定型発達” の人とは思考回路が違ったところがあります。”定型発達” の人からすると、アスペルガー症候群の人が身近にいた場合、日常生活でストレスを感じてしまうことがあるのです。そんなお話をしようと思います。

原因は上記の通り、思考回路が違うといったところが大きいです。パートナーシップをうまく築けず、自信を喪失し、身体的・精神的に症状が出てしまうことがあります。アスペルガー症候群は、”目に見えない障害”。周囲に理解を求めようと相談しても、信じてもらえないことが多々あるかと思います。それは、この世界が ”定型発達” の世界だから。”定型発達” の思考回路しか知らない人たちは、アスペルガー症候群の人の思考回路を聞いても理解しにくいという現状があるのです。

症状としては、ストレスによる体重の増減や頭痛といった身体的なものや、抑鬱状態や無気力になる精神的なものがあります。アスペルガー症候群の人が配偶者であったりパートナーであったりする方は、こういった症状がないか確認してみてください。ほかの症状が出ることもあるので、体調に異変を感じたら、カサンドラ症候群というものがあるのだ、ということを頭の片隅に入れておいてみると良いでしょう。

アスペルガー症候群を持つパートナーと上手に相互関係を築くコツ

アスペルガー症候群の特性のひとつとして、”通常の” コミュニケーションを取るのが難しい、という例が挙げられます。行間を読むのが苦手で、比喩表現を額面通りに受け取ってしまうことがあります。曖昧な表現でそれとなく伝えようとすると、誤解が生まれてしまう可能性があります。こういったコミュニケーションで悩んでいる方は、なるべくストレートな表現をするように心がけてみてください。私自身、比喩表現が苦手です。そして、表情から心理を察するのも苦手。「わかるだろう」と判断するのではなく、まっすぐな言葉で伝えるようにするとコミュニケーションが取りやすくなります。

また、興味のある分野にとことんこだわったり、日常生活を極端にルーティン化したりするという特性もあります。熱中すると文字通り朝から晩までその物事を続けてしまうことだってあります。そして、ルーティン化した生活を乱されるとパニックになってしまうこともあります。この辺りは、きちんと話し合ってみるということがおすすめです。ルーティン化するという特性から、熱中していることもルーティンにしてしまうのです。何時から何時まではその物事をしっかりとしても良い、でもその後はこれをするようにしよう、といった具合です。それがうまく回るようになれば、アスペルガー症候群の人もストレスなく日常生活を送れるようになることも多いです。

そして、ルーティンを乱されてパニックになっている場合は、相手を支えてみること。紙にやるべきことを箇条書きにして、頭の中を整理させてみてください。そうすると、私の場合はパニック状態が収束に向かいます。

相手のことも自分のことも責めないこと。気負わないのが一番の解決策

カサンドラ症候群に陥ってしまう場合は、自分のことを責めてしまいがち。でも、”定型発達” が悪いわけではない。アスペルガー症候群が悪いわけでもない。正しいとか、悪いとか、そういった言葉でくくらないでほしいのです。そういった言葉に縛られると、より苦しくなってしまうことがあります。気負わず、ストレートな対話でコミュニケーションをするようにして。相互理解を深めていってみましょう。

アスペルガー症候群当時者は、幼い頃からその特性に悩まされている人が多いのも事実。人間関係をうまく築けず、こちらサイドも自分を責めてしまっていることがあるのです。

お互いに悩んでいるのだと認識すると、フッと肩が軽くなることがあります。アスペルガー症候群の人は、確かに ”異質” に映るかもしれません。だけど、それでも人間なのです。お互いにその特徴を理解し合い、自分たちなりの形を築いていければ、それで良いのです。

“普通” の型にはまろうとする必要はありません。気負わず、相手の特性を理解したうえで、尊重し合いましょう。それが、ストレスフリーな関係への第一歩だと思います。


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