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水瓶座女子の「働き方」|12星座連載小説#34~水瓶座1話~

文・脇田尚揮 — 2017.3.9
12人の女性たちの生き方を、12星座になぞらえて紹介していくショートクロスストーリー『12星座 女たちの人生』。 キャリア、恋愛、不倫、育児……。男性とはまた異なる、色とりどりの生活の中で彼女たちは自己実現を果たしていく。 この物語を読み進めていく中で、自身の星座に与えられた“宿命”のようなものを感じられるのではないでしょうか。

【12星座 女たちの人生】第34話 ~水瓶座-1~


前回までのお話はコチラ

―――5年先のことも、その先の未来も、だいたい想像つくし


この感じ、まだ手応えなし……ヒラメキの神が降臨してきてない。

学園モノのゲームってありきたりなものになりがちなのよね。12人の男子たちとの甘い学園生活ってのはベタすぎるよな……。

幅広い層にウケるのを狙うんじゃなくて、恋愛に夢見てる女性や腐女子層を取りにいったほうが、課金率も高まるしバズる。むしろ、多少のムチャ設定もアリかも。

戦国時代にタイムスリップして、そこでイケメン武将から姫扱いされるなんてはどうだろう。

戦国武将ものと言えば、“信長”はオラオラ系で外せないし、“秀吉”はノリが良くて女を楽しませるのが上手いって感じかな。あと、イケメン枠で熱血の“真田幸村”に、意外なところでショタ好みの“森蘭丸”とかね。

あっはは。これは傑作。

ん~まてよ、これ三国志じゃいけないかな?……っと、でも、“趙雲”以外にイケメンキャラ作れないなー。五虎大将軍の中にジジイの“黄忠”とかいるし、どんな設定にすればいいんだろ(笑)

老紳士との恋か? マニアックすぎるわ! これはナシ。

「先輩、どうしたんですか? さっきからブツブツ独りで……」

『あ~、ちょっとまって』

近くにある紙ナプキンに、今浮かんだアイディアを書き留める。

『ごめんごめん、ちょっと閃いたもんでさ』

いつでもどこでも思いついたことは、取り敢えずメモしておく。こうやって今のポジションまできた。正直、地位とか興味ないけど。

「ホント、相変わらずですねぇ……、社内でも先輩の変わり者っぷりは、ウワサになってますよ」

後輩の三橋がクスクス笑う。

『アンタこそ、やたら愛想振りまいて、営業成績上げてんでしょ?』

ティーカップを傾けながら、少し意地悪く言ってみる。

「もう!先輩ヒドい~。これでも一生懸命やってるんですよ!? 先輩たち開発チームが作ってくれたアプリを、私たちが企業さんや広告代理店さんに売り込まなくちゃ、ユーザーに認知されないんですからねっ!」

『冗談冗談。分かってるよ。でも、“面白けりゃ、何もしなくても売れる”とも私は思ってるけどね』

「そりゃそうですけど……。こんなにオシャレなカフェも、先輩と一緒にいるとすっかり“仕事場”になっちゃうんだから。……まったく、どこで息抜きしてるんですか」

『私? 私は、常に“オン”であり、“オフ”でもあるのよ~』

そ。仕事も、遊びのように楽しみながらやらないと。いい作品なんて創れない。

“働いてる”って感覚なんて、そもそも私には無いんだけどね。

『それでさ、聞いてよ。さっき思いついたんだけど……』

……後輩に、閃いたアイディアを延々聞かせる。こうやって誰かに聞いてもらうことで、整理できるの。


何分喋り続けただろうか。

ふと三橋を見てみると、かなり憔悴している。そろそろ出るか。

『いつも悪いね、三橋。ここは私が』

お会計を二人分済ませながら、ペロッと舌を出す。

「はぁぁぁぁ……先輩の話には、ついていけないですよー。次から次へとアイディアが飛躍していって、頭使うんだもん」

『まぁまぁ、そんなこと言わないでさ』

綺麗に整備された並木道を歩きながら、会社に戻る。

赤坂は名前にも“坂”という漢字が入っているように、坂が多い街だから疲れるわ。

しっかし、3時に会社から後輩を連れ出し、カフェで過ごすなんて、普通じゃ許されないだろう。

でもこの会社は、とにかく“これまでにないモノを生み出そう!”って社風だから、おトガメなし。やりやすくて助かっている。

まぁ、社長が若くてチャラチャラしてるからね。大学出てすぐに、ITで一発当たっちゃったもんだから、調子に乗ってあれこれ手ぇ出してるみたいだし。

もちろん、女にも。

こないだなんか、うるさい車が来たなと思ったら、雨だっつーのに女連れで“ランボルギーニ出勤”よ。

ドアが上向きに開いて雨水がザバーだもんね。その女「きゃっ、濡れちゃった♡」って。なんじゃそりゃ、バカかって思ったわ。

――そんなやりたい放題の、まだまだ新しくて勢いのある会社ってのも、入社の決め手になったんだけどさ。

ウィーン

ピカピカに磨き上げられたオートロックのドアをくぐると、一面に大理石が敷き詰められたエントランスが現れる。

三橋とともに社員証をかざし、エレベーターへ。

「じゃ先輩、私は5階なので、ここで。」

『はいはーい、ありがとね~』

三橋に手を振って、私は8階の自分のフロアへ。ドアを開けると、パーテーションで区切られた無機質な空間に、カタカタとPCのタイピング音がひっきりなしに響いている。

みんな四角い箱と睨めっこしながら、まるで、何かに取り憑かれているかのように指を動かし続ける。

相変わらず、開発陣は必死だなぁ。

「ブラック企業か!?」ってツッコミそうになる。2日間家に帰ってない女子SEとか、一体何を楽しみに生きているんだろう。……ああ、こういうのが“真のドM”ってやつか。

そんなことを考えながら、マイチェアにどかっと腰掛ける。

目の前に乱雑に積まれた資料には、色とりどりのポストイットが貼られている。

ここが私の主戦場。

『おし、私もやるかぁ~!』

――イメージが膨らむ。



【これまでのお話一覧はコチラ♡】

【今回の主役】
中野怜奈 水瓶座26歳 IT開発事業部
個性的で変わり者、我が道を行くタイプ。協調性に欠けているが、時代の先を読む“先見の明”があるため、社内での評価は高い。女子向けアプリ会社『キュートキッチュ』の新作指揮を任される。アイディアウーマンであるが、縛られることを嫌う一匹狼。後輩の三橋奈美は良い相談役。実はバイセクシュアルの性向があり、出会い系アフィリエイトで知り合った池谷好美と同棲している。

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