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【12星座連載小説~牡羊座3話~】私を惑わせる…年下ダメ彼氏#3

文・脇田尚揮 — 2017.1.25
12人の女性たちの生き方を、12星座になぞらえて紹介していくショートクロスストーリー『12星座 女たちの人生』。 キャリア、恋愛、不倫、育児……。男性とはまた異なる、色とりどりの生活の中で彼女たちは自己実現を果たしていく。 この物語を読み進めていく中で、自身の星座に与えられた“宿命”のようなものを感じられるのではないでしょうか。

【12星座 女たちの人生】第3話 ~牡羊座-3~

12星座女たちの人生

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会議後、トイレで鏡を見ると……ぎえぇぇぇぇえ! 涙でマスカラが溶け落ち、化け物みたいな顔の私が映っていた。

『はぁ……情けないなぁ』

でも、私の企画通ったんだ。だんだんと喜びがこみ上げてくる。ずっと心の中でしこりになっていたことが、少しずつ砕けていくような気がした。
過去の“あのこと”だけがきっかけで制作業界に入ったわけじゃないけど、私のその後の人生の核となったのは確かだった。

メイクを直し気合いを注入し、トイレを出たところで……あ、木田さん。

「よぉ、お疲れ。企画通ったな。おめでとさん」

『ありがとうございます。』

「竹内、お前これからが地獄だぞ」

木田さんはそう言って、ニヤニヤしながら去っていった。

分かってますよーだ! 何か腹立つなぁ、もう!

なんて思いながらも、企画が通った喜びに私の口角は上がっていたと思う。

デスクへの帰り際、アナウンサーの江崎友梨(双子座/25歳)とすれ違った。いかにも「私デキます」って感じのオーラを放っている。そんなに肩肘張らなくても……。
私は、彼女が何か無理をしているように感じられてならない。

『ま、私も人のこと言えないか』

デスクに戻ると、山岡をはじめ同僚たちが湧いていた。

「お前、どうやったんだよ!? 新人で企画を通すなんてすげ-な!」

「色仕掛けしたんじゃないの」

「いや、まさか!! 竹内に色気なんてないじゃん」

「まぁ、なんにせよ週末はお祝いだな!」

みんな他人事だと思って、言いたい放題である。でも嫌な気分はしない。

時計を見ると18時をまわっていた。とりあえず今日はもう帰って、明日から具体的な内容を練っていこう。周囲の盛り上がりをよそに、私は会社を後にした。

私は会社から30分くらいの場所にマンションを借りて住んでいる。そして、そこで年下の彼氏・吉井祐也も生活している。彼は劇団員。かれこれ、3年近く付き合っている。
昨年はじめにうちに転がり込んできてから、ズルズルと居座り続けてなんとなく同棲生活をしている。

実は友人たちには、まだ彼のことを伝えていない。というか、隠しているのだ……。劇団員は人気商売なので、何かと彼女がいると“不便”だそうだ。

……本当かよ。

駅で降りて、近くのスーパーマーケットで食材を買って帰る。ちょっと買いすぎてしまっただろうか、両腕が重い……。今日は会議で疲れたなぁ。

マンションに着き、家の鍵を開ける。

「みーちゃん、遅いよ~」

いきなりドアが開いた。祐也だ。

「俺、ずっと待ってたんだよ~。腹減ったよ。早くなんか作ってよ」

『あ~、はいはいゴメンね。今日は企画会議があってさ、5時上がりの予定が1時間遅れちゃった』

「遅れるなら言ってよ。カップ麺食べたのに」

もう、コイツは本当にダメな奴……。なんで、私はコイツと一緒に暮らしてるんだろう。でも、放っておけないんだよなぁ。

家賃、光熱費、食費など、生活費は基本的にすべて私持ちだ。たまに弁当を買ってきてくれるけど、祐也の稼ぎはアルバイト代のみ。もう6年近く劇団員をやっているらしいけど、将来のこととかきちんと考えているのか心配だ。私だってもう32歳。仕事も大事だけど、結婚のことだって頭にある。分かってるのかなぁ。三十路の女は怖いんだぞっ。

そんなことを考えながら、食事の支度をする。今夜は祐也の好きなハンバーグだ。

「おっ、いい匂いがする! 何作ってんの?」

テレビを観ていた祐也がパタパタとやってきた。

『もう、邪魔だからテレビ観て待っといて』

「へーい」

クソッ……、不覚にも可愛いと思ってしまった。こういうのに弱いんだよなぁ。


『美味しい?』

「うん、ちょっとしょっぱいけど美味しいね、みーちゃんの料理」

悪かったな。あたしの実家の味付けは少し濃いんだよ。

夜も更けつつある。

牡羊座 第一章 終

次回、“第4話 「若きの女子アナの野望」”は1月26日(木)配信予定。


【これまでのお話♡】
【牡羊座1話】チャンスを手にした「女ディレクター」
【牡羊座2話】今、明かされる私のキャリアの原点

【今回の主役】
竹内美恵 牡羊座32歳 駆け出しディレクター
熊本県から状況し、都内でADとして下積みの後、最近ディレクターに。年下の男(吉井祐也・劇団員)と3年近く同棲をしている。
性格は姐御肌で面倒見がよく、思いついたらすぐ行動するタイプ。反面、深く物事を考えることが苦手でその場の勢いで物事を決めてしまうきらいがある。
かなりワガママだが、テレビ局内での信頼はあつい。

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脇田 尚揮(わきた なおき)/占い・心理テストクリエーター、小説家
鹿児島大学で心理学を学び、法律の世界に足を踏み入れた後、占い師になる。ライトなテーマからディープなものまで書き分けるスタイルには定評あり。著書に『大人の恋愛心理テスト』(双葉社)、『生まれた日はすべてを知っている』(河出書房新社)など。ほか、テレビ東京『なないろ日和!』にて、占いコーナーレギュラー担当を務める。