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歌舞伎町ホストクラブへ行く女|12星座連載小説#107~射手座8話~

文・脇田尚揮 — 2017.6.28
12人の女性たちの生き方を、12星座になぞらえて紹介していくショートクロスストーリー『12星座 女たちの人生』。 キャリア、恋愛、不倫、育児……。男性とはまた異なる、色とりどりの生活の中で彼女たちは自己実現を果たしていく。 この物語を読み進めていく中で、自身の星座に与えられた“宿命”のようなものを感じられるのではないでしょうか。

【12星座 女たちの人生】第107話 ~射手座-8~


前回までのお話はコチラ

さて、と。軍資金も調達したし、そろそろ行こうかな。
純からLINEが届いており、どうやらホストクラブの入口で待っていてくれるらしい。

新宿駅東口から歩いて徒歩7分か……。

「Royal Nights」ってお店。なんだか、いかにも“ホストクラブ”って感じの名前だけど、どんなところなのかしら。

歌舞伎町のアーチをくぐると、そこはもう夜の街。煌びやかなネオンと客引きたち、少し危険な香り漂う“夜の住人”たちが跋扈する場所だ。

しばらく歩くと……あっ、いたいた! 純が入口で手を振っている。

「淳子ちゃん! 来てくれて本当にありがとう! ……いやぁ、まさかこんなに早く会いに来てくれるなんて思ってなかったから、俺、感激だよ!」

純の容姿・言動は、完全に“ホストのそれ”だ。オーダーメイドのスーツに、お洒落な小物を少々。お金をかけるポイントをきちんと押さえている。

この若さで、ここまで揃っているとなると、間違いなく“女の息”がかかってるわね……。これは、同じ女にしか分からない“パトロンの匂い”。

麻布や六本木とはまた違った、この“ギラつき感”は新宿特有のものだ。東京で、なんとしてでものし上がってやろう、という意気込みを感じる。

なかなか楽しませてくれそうね……!

「それじゃあ、行こうか?」

純が、私の手を取る。

「Royal Nights」と書かれた扉をくぐると、ライトで照らされた薄暗い通路が続いている。

「足元に気をつけてね、淳子ちゃん」

純が、少しだけ強く私の手を握る。

こういうのも演出のひとつなのかしら、それとも自然体? 流石ね。

頭では分かっていても、女はこうやって“特別扱い”されると、クラッときちゃうものなのよね。

途中、ナンバー入りしたホスト達の写真が飾られている。ふぅん、純は3位か……なるほどね。

……えっ!? あれって、この間のカワイイ系の男の子。
ナンバーワンは、“マサシ”という男の子らしい。

「あ、この間一緒に飲んだマサシは、うちのナンバーワンなんだよ」

『へぇ、可愛い顔してマサシ君、やるわね。ちなみに、あのガングロの男の人は誰だったの?』

「あぁ、あの人は、このクラブの取締役の末崎さんだよ。この間は、末崎さんに六本木に飲みに連れて行ってもらったんだ」

ふぅん、あのガングロがここを仕切ってるのか。

通路の先には大きな扉。純が開けてくれる。

「ようこそ、いらっしゃいませ“Royal Nights”へ!」

―――十数人のホスト達がズラリと並び、私を出迎えてくれた。

これこれ! この雰囲気、心地良いわ……!

中央にドーンと備え付けられたシャンデリア、革張りのソファ、床に敷かれたベルベット。内装もそこそこ良い感じ。さて、サービスはいかがなものかしらね。

ソファに座ると、すかさず純が尋ねてくる。

「淳子ちゃん、今日は何を飲む?」

『そうねぇ、じゃあ景気よくシャンパン入れちゃおうかな!』

果物の絵柄が可愛い、カフェ・ド・パリを指差す。

私だってそれなりに、夜の街で遊んできたからね。最初からドンペリなんて入れないわよ。楽しませてくれたら、考えてあげても良いけど。

「えぇ! シャンパン入れてくれるんだ! 俺のためにありがとう! ……カフェ・ド・パリお願いしま~す!」

へぇ、てっきりクリュッグかヴーヴ・クリコあたりをねだってくるのかと思ったけど、意外と良心的じゃない。

―――前に池袋のホストクラブで飲んだときは、酷かった。

“モエピン”をオーダーしたのに、“ピンドン”が飲みた~いってホストが譲らなくて、支払いが20万円近くになったのよね。

しかも、数人が一気にあけちゃうもんだから、私は3口程度しか飲めなかったわ。ああいう店には、もう絶対に行きたくないわね。

その点、ここなら気楽に楽しめそう。

「いやぁ、先日は六本木で楽しかったですね。末崎さんも淳子ちゃんのことをね……」

純と談笑していると、男がひとりやってきた。

「タカシと言います。ご一緒させてもらってもいいですか?」

ヘルプか。何だかちょっとナルシストっぽくて鼻につくわね。そんなに好みのタイプじゃないけど、ま、仕方ないか。

シャンパンが運ばれてきた。グラスは3つ。

そこに純がシャンパンを注いでくれる。うん、所作も綺麗でいいわね……。

グラスの底から泡が立ち上がる。

―――これから儚くも楽しい夜を満喫するのだ。

「じゃあ、乾杯しようか」

『そうね、乾杯といきましょう』

「淳子ちゃんとの素敵な出会いに、カンパ~イ!」

カフェ・ド・パリは、甘い香りが特徴的な、女子向けのシャンパンだわ。

「淳子さんは、どこで純さんとお知り合いになったんですか?」

タカシという名のヘルプが話しかけてきた。

『六本木のクラブよ。偶然同席して、そこから』

「そうなんですね、俺もたまにクラブ行くんですよ」

―――シャンパンを飲み干し、“そいつ”は不敵な笑みを浮かべた。


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【今回の主役】
戸部淳子 射手座28歳 ジュエリー卸業
ヨーロッパ圏でのホームステイなど、学生の頃から海外経験が豊富で、英語がそこそこ堪能。国外から宝石を買い付けて、ブティックやウェデイング業界に卸している。若さの割に目利きであると評されるところも。イタリア人の彼氏・クリスがいるが、性に奔放で何かとトラブルが起こりやすい。


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