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初めて、こんな男を…|12星座連載小説#94~天秤座7話~

文・脇田尚揮 — 2017.6.9
12人の女性たちの生き方を、12星座になぞらえて紹介していくショートクロスストーリー『12星座 女たちの人生』。 キャリア、恋愛、不倫、育児……。男性とはまた異なる、色とりどりの生活の中で彼女たちは自己実現を果たしていく。 この物語を読み進めていく中で、自身の星座に与えられた“宿命”のようなものを感じられるのではないでしょうか。

【12星座 女たちの人生】第93話 ~天秤座-7~


前回までのお話はコチラ

今日一日で“店舗サイト”の雰囲気がかなり変わった。

薫さんがくれたのは、ただ貼り付けるだけでサイトの構成を変えることができるとても便利なデータだった。お陰で私は、商品を登録し直すだけで済み、デザイナー並みの仕事ができた。

これ、本来ならば、どれぐらいのコンサル料がかかるんだろう……。きっと数十万円はするんじゃないかな。

今日の昼まで彼を、“メガネ童貞”扱いしていた自分が少し恥ずかしくなった。

お礼、言わなくちゃ。帰宅途中の電車の中で、薫さんにLINEを送る。

「薫さん、こんばんは。先日頂いたデータ、早速うちのウェブサイトで活用させて頂きました。私でも扱えるような、とても簡単なもので感激しました。本当にありがとうございます」

心から感謝している。

今までに私の周りの男たちは「俺がやるよ」と何でもしてくれていた。でも、この人は手助けしてくれただけ。それでも、誰より充実感を与えてくれた。

こんな男の人もいるんだなぁ……。これまで関わったことがないタイプの男性だった。

―――電車が渋谷駅を通過しようとしたとき、隣駅に住んでいる薫さんの顔が思い浮かんだ。

帰宅すると、薫さんからLINEの返信が届いていた。

「佐々木さん、ご連絡ありがとうございます。先ほど、佐々木さんのお店のウェブサイトを確認させて頂きました。かなり良く変わっていますね。ビックリしました! 私はただ役立ちそうなデータをお渡ししただけです。佐々木さんのセンスがあるのだと思います。売れるといいですね! あっ、そうそう一点だけですが……」

挨拶のあとに、 “ここをこうすればもっと良い”といった内容が、かなりの長文で書いてあった。

本当に律儀な人……。普段の私なら“キモい!”と思ってしまうようなメッセージだけど、不思議と嫌じゃない……そんな自分に気付いた。

よく見るとカワイイ顔だし、ちょっと変わってるけど優しい人なのよね。

『別に、好きとかじゃないんだから……!』

照れ隠しに、ひとり言を呟く。薫さんに再度お礼LINEを送ってから、シャワーを浴びた。

少し遅いが、夕食をとる。ひとりでの食事は、あまり好きでない。

ここ最近、外では誰かしら男と食べていたし、家でも家族と食べるようにしていたから。今日は久々の“おひとり様ごはん”だわ。

薫さんは実家暮らしだから、きっとお母さんに作ってもらっているのよね。彼が作ることもあるのかな……。

そんなことを考えながら、たいして興味もないバラエティ番組を観ながら、食事を進める。

その後も、何をするわけでもなくダラダラと過ごし、そして眠りについた―――

ザアアァァァァ……

テレビのノイズのような音が、窓の外から聞こえる。今朝は大雨だ。

あぁ、憂鬱……こんな天気だと、今日はお客さんも来ないわね。仕事、休みたい。

雨の日は、靴はビチョビチョに濡れるし、髪はまとまらないし、メイクのノリも悪い。テンションが下がっちゃうわ。

なんて思いながらも、仕方なく、のそりのそりとベットから這い出る。

夜の仕事をしていた頃は、タクシー通勤をしてたから楽だったなァ。今の給料ではそんな贅沢は、とてもできない。

支度をして大雨の中、職場へと向かう。

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職場に到着した私を待っていたのは、意外な人物の意外な言葉だった―――

彼女はロッカールームで私を待っていた。

「おはよう、佐々木さん」

ゲッ……、鈴森さんだわ。また何か、嫌味でも言われるのかしら。ただでさえ、雨でイライラしているんだから、勘弁して欲しいわ。

「あの……、先日はゴメンなさいね。少し言いすぎたわ」

『えっ……』

「佐々木さんだって、一生懸命やってくれているのにね。忙しくて、少しイライラしてたわ」

『いえ、そんな……』

「じゃあ、また後でね」

それだけ言って、彼女は申し訳なさそうに売り場に出て行った。

一体どういう風の吹き回し……? 私、何かしたっけ?

突然のことに面食らっていると、今度は主任の来栖さんが入ってきた。

『あっ、おはようございます!』

「おはよう、佐々木さん」

なぜか、来栖さんは妙に“にこやか”だ。

「サイトから、商品が売れたわよ。しかもこの一日で二点も! この半年近くまったく動いてなかったのに。あなたのお陰ね」

『ええっ!』

驚きの声をあげてしまった。薫さんのアドバイス通りにしたら、売れたんだ……!

「ありがとうね。ネット販売はうちが一番弱いところだったから……。これからも、サイトのことは佐々木さんにお願いするわ」

『は、はい!』

信じられず、自分でも社内のPCからサイトへの注文を確認する。

ホントだ……、群馬県と山梨県の女性が購入している。

薫さんのお陰だわ。本当にあの人は、凄い……!

―――私の中で、彼への“尊敬”の気持ちが、“愛”に変わった瞬間だった。


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【今回の主役】
佐々木恭子 天秤座27歳 アパレル店員
センスがよく整った容姿の女性。男に困ったことがなく、広く浅く男性と付き合う、いわゆる“リア充”である。将来の夢は玉の輿に乗ることで、毎週タワーマンションで催される会員制パーティー『ロイヤル・ヴェイル』に参加している。仕事仲間からは陰口を叩かれているようである。


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