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【男は金、女は顔】婚活エトセトラ|12星座連載小説#48~獅子座6話~

文・脇田尚揮 — 2017.3.31
12人の女性たちの生き方を、12星座になぞらえて紹介していくショートクロスストーリー『12星座 女たちの人生』。 キャリア、恋愛、不倫、育児……。男性とはまた異なる、色とりどりの生活の中で彼女たちは自己実現を果たしていく。 この物語を読み進めていく中で、自身の星座に与えられた“宿命”のようなものを感じられるのではないでしょうか。

【12星座 女たちの人生】第48話 ~獅子座-6~


前回までのお話はコチラ

「それでは、乾杯!」

……やっと主催者の話が終わった。そこかしこで、グラスが高く掲げられる。そして、それに続いて、「カチン」というグラスとグラスがぶつかる音が聞こえてくる。

取り敢えずは、“景気づけ”に一杯! グラスのシャンパンを一気に飲み干し、黒服に“おかわり”をもらう。

さてさて、ハラが減っては戦もできないからね。……小腹もへったな。

オリーブやイクラ、カマンベールなど様々な具材が盛られた、軽食が所狭しと並んでいる。

『よっ……と』

少し取りにくい位置にある、オリーブのピンチョスに手を伸ばそうとしたとき……、

「はい、どうぞ」

スーツ姿のひょろっとした男が、ニコニコしながら取ってくれた。

『あ、ありがとうございます』

少しビックリしながら礼を言う。

「背高いですね~。モデルさんですか?」

『いえいえ、とんでもない! 下着販売の仕事です』

無駄に身長があると、こういう場ではいつも背丈の話から始まる。

確かに、170cmの身長に10cmのハイヒールを履いた女が、テーブルの上でフードに手を伸ばす光景は目立つかもね。

自分のことだけど、想像して少し笑えた。

「下着の販売をされてるんですか! 私は不動産売買を専門にやっています。美樹本と言います。」

美樹本と名乗る男が、名刺を差し出してきた。

……へ~、銀座の物件を中心に扱ってるんだ。金持ってるんだろうなぁ。

『私は黒木と言います』

自分もピンクのクロコダイル皮の名刺入れから、一枚差し出す。

「ん! オーナーさんなんですね! その若さで素晴らしい!」

何だこの男、お世辞言っても何も出やしないよ。

……でも、まぁ悪い気はしない。

「中目黒でやってらっしゃるんですね。私の知り合いも“中目”でセレクトショップをやってるんですよ……奇遇だなぁ。“パシフィック”っていうお店なんですけどね、その物件を扱ってるのもウチなんですよ」

この手の男は、話が長くて面倒なタイプ。共通点を見つけて、ジワジワと距離を詰めてくる系ね。

3時間のパーティーで、半分くらい時間を取られて、“結局何もない”なんてことになりかねないわ。

『そうなんですね~。もしよければ、私も一度行ってみようかしら。……お食事をとって下さって有難うございます』

早々に話を切り上げて、群れの中に入っていく。

“タイム・イズ・マネー”なのよ。許してちょうだいね。

ん、何だあの人だかりは…?

推定30代前半の、やや悪趣味なロングコートを羽織った男の周りに、少し“頭が足りない”感じの女が6人集まっている。

超絶イケメンってワケじゃないけど、顔は……まぁまぁ整っているわね。

「ヨシヒコさんって、あの教聖病院の御子息なんですね、スゴ~イ!」
「若いのに風格があってステキですね~」
「そのネクタイピン、もしかしてハリウッドのセレブが愛用してるモデル!? やっぱりセンスが違いますね!」

女たちがピーチクパーチク騒いでいる。

女三人寄れば“かしましい”と言うけど、6人もいれば、“ややこしい”わ!

これまでの経験上、医者の息子は“美人目当て”に遊びに来ている率が高い。本人は、本気でパートナーを探そうなんて思っていない上に、倍率も高いなんて勘弁だわ。

会場をぐるりと一周して、参加者をチェックする。

一際目を引くのは……、あれ? あの子、この間お台場で見た子じゃない。へ~、こんなとこにも来てるんだ。……忙しい子。

それ以外は…う~ん、男も女も何かこうパッとしないわね。…ふぅ、歩き疲れたから、二人掛けソファでしばし休憩。

顔が良い男は基本的に苦手だし、金持ちは偉そうでイラッとするし、優しい奴は下心があるんじゃないかって勘ぐっちゃう。

私って、男と付き合うのに向いてないのかしらねぇ。

と、思っていると、

「すいません、良ければお隣、いいですか?」

『は、はい、どうぞ……』

何だ何だ? いかにも普通そうな男が、スッと横に座ってきた。あまりに地味すぎて、存在に気づかなかった。というか、この華やかな社交場に、おおよそ似つかわしくない身なりだ。

……まぁ、人のことは言えないが。

背は私の“首くらい”の高さ。ジーンズに白いワイシャツで清潔感はあるけど、どこかおっさんくさい雰囲気。どっかの会社員かなんかだろうか。

「いやぁ、こういう場所って、どうしたら良いか分かんなくなっちゃいますよね。特に私は人見知りなもんで、ハハハ……」

ハハハ……って、じゃあ何で、わざわざ参加するのかしら。

『そうですね、私は人見知りってわけじゃないですけど、いろいろ考えてしまいます』

「何をです?」

『ここに来ている、参加者たちの思惑とか、そんなことを』

「皆さん、いい出会いを求めて必死ですからねぇ」

『ええ。本当はこういうところで出会いを求めること自体、“不自然なこと”なのかもって思ったりもしますけどね……。でも、男も女もどうせなら良い人見つけて結婚したいじゃないですか』

つい、ホンネが出る。この男、なんか“違う”。

「アハハ、そりゃそうだ。面白い方ですね。私、木村と言います。」

えらく平凡な名前だ。

『私は、黒木と言います。どうして、私と話を?』

「随分とお綺麗で目立つのに、輪の中に入っていらっしゃらないから、つい気になって声を掛けさせてもらったんですよ」

ふ~ん、ま、いっか。今日はこの男とまったりくっちゃべるとするかな。安全そうだし。

……何か、“茶飲み友達”みたいなヤツ。

それが私の、彼への第一印象だった。

獅子座 第2章 終



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【今回の主役】
黒木真利子 獅子座31歳 経営者
女性向け下着ブランド『アリアンロッド』の経営者。プライドが高く、自分の力で今の会社を立ち上げ軌道に乗せたことに誇りを持っている。しかし、恋愛はあまり得意でなく、強気な性格ゆえに男性との関わり方について悩んでいる。顧問税理士の茂木篤史は心を許せる存在。

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