会社を辞めて、こうなった。【第11話】 秘密のヒッピータウン、ボリナスへ。

2015.3.25 — Page 1/3
ストーカーやホストファミリー事件から警戒心全開になり、気づいたら英語で話せる友達が誰も居ないことに気づいた元編集者・土居。そんなとき、ふと思い立ち、彼女が向かったのは、海。

長年勤めた出版社を辞めて、なんの保証もないまま単身アメリカに乗り込んだ女性が悩みながら一歩一歩前進して、異国の地で繰り広げる新鮮な毎日を赤裸々にレポートします。

 

【第11話】秘密のヒッピータウン、ボリナスへ。

今回は、ちょっと不思議な一日についてお話したいと思います。

ストーカーやホストファミリー事件から警戒心全開になり、気づいたら英語で話せる友達が誰も居ないことに気づいた私。学校と家の往復という極めて真面目な毎日のわりには英語力も伸び悩み、焦るばかりでした。

そんなとき、ふとひとりで海を見に行こうと思い立ったのです。

全ては不思議なクリニックから。

サーファーやクリエイターが通う素敵なホリスティッククリニック。
サーファーやクリエイターが通う素敵なホリスティッククリニック。

しばらく歩くと海の近くに素敵な場所を発見。かねてから興味のあったホリスティックな医療(疾患だけではなく、心、体、生活環境などを包括的にみて行う医療。例えば鍼、カイロプラクティック、キネシオロジー、ハーブ、フラワーエッセンス、アロマ、食事療法などで自然治癒力を高めることで疾患を治療する)を施すクリニックです。

サーファー風の人がお会計をしている間、じっと怪しげに外から覗き込む私。エスニック柄のラグに北欧家具とイームズチェア、マウンテンバイクにパワーストーンといった内装です。そして先生も白いシャツにベージュのチノパン、ビーチサンダルとラフだけどすっごくオシャレ。私の知る限りでは、日本のホリスティッククリニックでこういうカルチャーミックスな提案をしている人はいなかったなと、ワクワクしました。気づけば英語が出来ないなどとためらうこともなく、クリニックに入って先生に話しかけていました。

「ここはどういうクリニックなのですか?」と。

すると「中に入ってみますか?」と言われ、ラッキー! ネイティブアメリカンが聖なるハーブとして崇め、神聖な儀式で使われ続けているセージ。その香りに包まれた室内には、赤、オレンジ、緑、青といったオシャレなチャクラサングラスがあります。存在は知っていたけど、これほどオシャレなフォルムのチャクラサングラスを見たのは初めて! トラウマを抱えた人にはこれらをかけてもらいながら、治療を施すこともあるのだとか。

アメリカに来た経緯などを軽く話しつつ、雑談していたら「ボリナスに行ったらいいよ!」と先生が言うのです。ボリナスとは、サンフランシスコから1〜2時間車で行ったヒッピー&サーフタウンとか。かなりのくねくね道を走り、さらには道路には“ボリナス”と表す標識は一切無いそうで、聞けば聞くほど私のような新参者にはハードルが高すぎる気が…(おそらく観光客を制限している街なのではと思います)。

「あ、そういえば今夜友達がボリナスにキャンプに行くって言っていたから一緒に行けばいいよ!」と、気づけば先生がそのお友達に電話をしてくれ、FaceTimeで自己紹介しつつ待ち合わせ場所の相談をしていました。自分でもびっくりです。そして1時間後にはハウスオーナーに借りた寝袋を抱えてボリナス行きの車に乗っていたのです。

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