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会社を辞めて、こうなった。【第62話】アメリカ生活第二章スタート! アカデミック・コンプレックスをぶち壊してくれた社長との出会い。

写真/文・土居彩 — 2018.1.20
日常生活におけるマインドフルネス、思いやりの実践ってどういうこと? 論文を読んだり、研究アシスタントをしたり、瞑想しても、常に腑に落ちず、モヤモヤしていた筆者・土居。大学とも心理学やスピリチュアルな世界とも全く関係のない、短期インターン先で出会ったという社長がその疑問をパッと晴らしてくれたといいます。『能力を示そうと必死にならなくていい』『ただキミでいて、自信を持ちなさい』。そう、言われ続けた2か月間。アメリカ生活・第二章が始まります。

【土居彩の会社を辞めて、サンフランシスコに住んだら、こうなった。】vol. 62

 

【第62話】アメリカ生活第二章スタート! アカデミック・コンプレックスをぶち壊してくれた社長との出会い。

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ヴィパッサナー瞑想から帰った後に何をしていたかというと、事情(私がインターンしている研究機関の研究は、予算がほとんどつかないもので、私を含めた過半数がボランティアで従事。ひとりふたりと協力者が抜けていくなか、メインのリサーチャーまでもが「これ以上続けられない」と言い出し研究業務が数か月間頓挫)があって、2か月間限定で全く違う世界でインターンをしていました。それはこちらでとてもお世話になっている友だちの関係でお話が来た、こだわりのあるユニークな会社でのこと。心理学とも大学ともスピリチュアルな世界とも全く関係ない場所でしたが、面接中、社長に「You don’t have to prove yourself (能力を示そうとしなくてもいいんだよ)。ただキミでいればいい」と言われたことがとても印象的で。

アカデミックな世界で、“慈悲の心” やら ”畏怖の念” について研究している有名な人だけど、「なんだかこの人、思いやりに欠けてない?」とスター研究者のことを思ってしまったり、「一緒に本をだしませんか」と声をかけてもらってもスピリチュアルな世界での活動は常に持ち出しで、定職を持たない私にとっては持続可能な関わりかたを見出さなければいけない……。”良き人間でいる” ということと ”社会的に成功する” ということは比例せず、縁の下の力持ち的な人は現実世界では評価されず、最終的には飢え死にしちゃう? と、常日頃疑問に思っていたんです。実生活に落とし込めていない研究ってなんか意味あるのかなぁ、とも。そこでサバイバルな世界であるビジネスの場で、この経営者はなぜ「評価されようとしなくていい。ありのままでいろ」と、まるでスピリチュアルリーダーのように堂々と言い切れるんだろう? そう興味を持ってしまったら最後、私の性格上、まずその世界に飛び込んでみないわけにはいきません。

インターン3日目に、自動車事故!

ということでヴィパッサナー瞑想から帰った翌日からインターン生活が始まりました。初日にメモを取ろうと握りしめていたノートは社長に没収され、「ただみんながやっていることを観察するんだよ。2週間、キミはそれ以外何もやらなくていい。スポンジみたいに吸収するんだよ」と最初のカウンターパンチが。「2か月間しかないインターン期間の2週間(1/4!)、ただ見学するだけでいいの?!」。ラッキー? いいえ、観察するだけで働けないとなると、恐ろしいほど時間がスローに流れるのです。そこでバレないように、トイレにあったホウキを取り出して床掃除をしてみたりして。そんなふうに過ごしながら、勤務3日目。バーーーーン!! というクラッシュ音がオフィスに鳴り響きました。会社の前で追突事故が起こり、社員の人たちの車が巻き込まれてメチャクチャになったのです。

会社の前は黒山の人だかりで、パトカーや救急車が。事故を起こしたドライバーは頭から血を流しています……。とっさにオフィスの前に飛び出して、入り口を塞いでいた壊れた車のドアの残骸を片付けようとしたら、車をめちゃくちゃにされた社員の人のひとりが「アヤ、警察が事情聴取をするから、このままにしておこうね」ととても冷静に優しく諭してくれ、その態度に感心。ほかの人も社内へと走って水の入ったコップを手にし、ドライバーに手渡しています。オフィスの中でも「あそこの十字路は信号が無くて、ずっと危なかったから」と、誰も自分の車を壊したドライバーの批判をしません。やっとのことで、「大変でしたね……」と車が壊滅状態になってしまった人に声をかけると、にっこり微笑んで「Just a car (ただの車だから)」と返事され、まだ瞑想合宿が続いているようなマインドフルで温かな気分になりました。

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インターン4日目は「営業にいくけど、一緒に来る?」と社長に誘われ、「まず腹ごしらえをしよう」とカフェに連れて行ってもらいました。けっこうゆっくり食べているので「アポ、何時なんですか?」と聞くと、「とくに決めてないよ」と言われて仰天。そんな営業スタイル、聞いたことないよ! と思いながら、新入社員のときに面倒をみてもらったマガジンハウスの上司のことをふと思い出しました(笑)。社長に「なんでキミをインターンに採用したかわかる?」と言われたので、「わかりませんね。なぜですか?」と聞くと、「面接で1時間以上かかったでしょう?」「はい、ずいぶん贅沢に時間をとってくれるなぁと思いました」「あのあいだに、なんか違うなってことをキミが言ったり反応したりするかなと、ちょっと意地悪な気持ちでずっとみてたんだけど、それが全くなかった。いつもこちらの話を中断せずに最後までちゃんと聞いて、言葉を選びながら正直にじっくり考えながら答える。その様子がいいなと思ったんだよ。面接中に『自分はこれができる』『あれができる』とアピールしてきて、こちらの話のこしを途中で折るタイプの人が多いけど、私はあれがすごく嫌いなんでね」と言われて、「そんな地味な部分を評価してくれる人がアメリカにもいるんだ!」と救われたような気分になりました。そして、「あ、社長。それはですね。私は英語がよくわからないので、聞いた英語を日本語に翻訳して、話す日本語を英語に翻訳して会話しているんです。だから、クイックに反応できず、自然にタイムラグができるというわけです。結果思慮深く見えていたなら、ラッキーですけど、からくりはそんなところです」と答えると、「そうだったのかぁ! だまされたなぁ!」と爆笑されました。 

研究者より、普通の人のほうが断然エライ、かも?

交通費節約のため、インターン先まで1時間かけて歩いて通っていたのですが、それに気づいた同僚のエスがライド(車に乗せてくれること)を申し出てくれました。帰りが同じ時間になるといつも送ってもらうことになってしまうので、業務が終わり次第私が忍者のように去っていく様子を指摘されたので、「だって、あなたは私のUberじゃないもの。悪いわ」と答えると、「暗くなったあとに、1時間も歩いて帰っていく人を見過ごすことなんてできないわ。危なすぎる! そんなの当然のことだし、あなたのためというより私の正義感のためなのよ」と言われて、「なんてすごい場所に来たんだろう……」とちょっと震えそうになりました。オフィスにいる誰も慈悲の心も畏怖の念の研究なんても当然していないし、社長に至っては大学を中退したっていってるし。でも、みんなのほうがよっぽどそれらが何か、そして信頼関係を築くためにどれだけ大切なことかをわかっていて、実生活の中で自然な形で実践していたのです。

ギフトリボンマスター降臨!

インターン期間はクリスマスのホリディシーズンだったこともあって、商品を美しくリボン結びする業務などもありました。ネイティヴのみんなのように英語ができない私はせめてこれぐらいは一番を目指そうと週末にYoutubeを見ながら練習。結果、インターンが終わる頃にはみんなにラッピングを頼まれるほどになりました。ある日社長にちょっと散歩をしようと誘われ、「キミの働きぶりを見ていた。責任感、忍耐力、そして明るくユーモアのセンスもある。新しいことを毎日着実にしっかりと吸収している。それからキミの装いにはスタイルがあるね。まずは1年間、この会社できちんとした形で働いてみない? キミに必要なトレーニングがあれば、会社が負担するし、給料もちゃんと支払うよ」と打診されました。本当に嬉しかったです。やっと今の私に可能性を感じてくれて、現実的に私が自分の足で立って生きていくために力を貸そうという人が現れたのです。

そこで友だちに紹介してもらった弁護士さんに相談。すると、現実問題としてアメリカで働くための短期ビザを発行するのはとても費用がかかるだけではなく、私のようなバックグラウンド(文系の学士で日本のマスコミで勤務)の場合、今回のようにアメリカでまったく新しい業務に従事するとなると(例えば、プロダクトデザインの仕事)発行される可能性はゼロだと言われたのです。「なんで私はこんなに歳をとるまで、アメリカに来られなかったんだろう」「なんで私には目の前のチャンスを手に入れることができないんだろう」。不満をぶつけたところでどうしようもない状況に対してひと晩だけ泣くことを自分に許して、とても有り難いお話だけれどお断りしますと翌日返事しました。

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その一週間後、大事なお得意先に贈るギフトのラッピングをして欲しいと社長に頼まれ、みんなが帰った後に残業をしていました。「アヤ、キミは本当に良い人だよね。そこがとても好きなところだし、会社のみんなともすごくうまくいっている。思いやりや控えめな心、大事だよね。でもそれはときにはビジネスの世界では足かせになる場合もある。バランスだよ。今のように短期のインターンをし続けて、商品のラッピングをしたり、ゴミ捨てしたりって。キミはそれをし続ける人じゃないよね? キミの今までの実績を考えると、それを活かしてキャリアを積み重ねていくことを考えていかないと。アヤ、そろそろコンフォートゾーン(ラクな居心地が良い場所)から抜け出しなさい。“良い人でいよう”とこれからは譲るばかりじゃなくって、もっと堂々と生きていくんだよ」。そして鏡の前に立たされ(苦笑)、「これがキミだよ。もっと自信を持って。自分を好きになって」。それが社長がくれた、インターン最後のメッセージでした。

思いやりと自己主張の最適バランス。

ところで短期インターンをしていた同時期に、バークレーのプログラムを修了してすでに半年経つのに、未だに修了書が送られてこないという事態が起こっていたんです。「どうなっているんですか?」とメッセージを3名の担当者に送ると責任者から「すぐに確認してメールしますね」と返事が来たけれど、待てど暮らせど連絡が来ない。3週間待った後に「その後どうなりましたか?」と連絡をすると、「責任者の彼女が大学生の期末テストの点数をつけたりで忙しく、しかもホリデーに入ってしまったかもしれない。連絡がつかないかもしれないけれど、もう一度あなたのほうからコンタクトをとりなさい」という返事がサブのひとりから。今までの私だったら、明らかなヒエラルキーのもとにひれ伏し、すごすごと彼女に「了解しました」といって責任者に「お忙しいなか恐縮ですが、修了書の件を再度確認していただけますか……?」と連絡していたのでしょうが。インターン先の社長やみんなのおかげで、「これは明らかに彼らの主張のほうがおかしい」と自分の感覚のほうを認められたんです。そこで「この件は、1週間や2週間の話ではなく、プログラムを修了してもはや7か月以上経っていますよね。私はこのプログラムのために、50,000ドル以上の費用と4学期という日時を費やしてきた。そしてこちらから確認しないと7か月以上も修了書を受け取れないまま月日が流れ、未だに何の連絡も無いという事態に対して、なぜ私のほうがなんどもなんども事実確認をしなければならないのですか? 私の常識では、この事態を理解できません」と主張したら、即修了書がFedEXで送られてきました。なんだ、やればできるんじゃん…。

私が今まで信じていたものや、目指そうとしていた世界っていったいなんだったのかな? 最近強くそう思います。そして不思議なことに私の疑問と正比例するように、プログラムの責任者から「このところ、いったいどうしているの? あなたは、今どこにいるの?? 大学院を志望するのはもう辞めてしまったの???」と連絡が入るようになりました。これは私がかつて目標としていたものを今の私はどう見るんだろうと再確認するための良い機会だと思って、「じゃ、よかったらお茶でもします?」と返事し、会って話すことになりました。社長やインターン先のみんなと出会えたことで、アカデミック・コンプレックスやらアカデミック信仰やらをガラガラと崩してもらえた今。半年以上のときを経てその世界と接してみたらどんな気分になるのでしょうね。ちょっと不安でもあり、楽しみでもあります。

See You!

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空の写真:インターン先に向かう、午前7時10分の空。私の一番好きなオパールカラーに染まる。

カフェの写真:最近一番のお気に入りは、『Alchemy Collective Cafe and Roaster』というカフェ。バークレーでは、コレクティブといって共同経営者スタイルで運営するピザ屋やコーヒーショップがそこかしこに。

カードの写真:今年も日本の家族や友だちにホリディカードを。カードを贈る相手がいるというのは、幸せなことですね。



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