会社を辞めて、こうなった。【第58話】 ピィーのエネルギー心理学①。 幸せを阻む、不要な思い込みとさよならする!

写真/文・土居彩 — 2017.9.30
ダライ・ラマ14世も言っています。私たちの人生の目的は幸せになることだと。でもお金があるとか無いとか、恋人がいるとかいないとか、そういう外側の状況を条件にしてしまうと、幸せとはとっても不安定なものに。さらには周りのことを気にしすぎた結果、自分だけの幸せセンサーも鈍っているかも?! そこで、エネルギー心理学で深層レベルに潜む、破壊的な信念体系にアプローチし、幸せを阻む思い込みを解放する方法をお伝えします。

【土居彩の会社を辞めて、サンフランシスコに住んだら、こうなった。】vol. 58

 

【第58話】ピィーのエネルギー心理学①。幸せを阻む、不要な思い込みとさよならする!

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ただ今唯一の社会との接点であるUCSF Osher Center for Integrative Medicineでのインターン業務は現在、データ結果を個別に自宅作業で分析するということで、ますます家に引きこもりがちな今日このごろ。人との触れ合いはといえば、シャワールームで鉢合わせをしたハウスメイトと「ハイ」とひと言交わすぐらいで、ほぼ声帯を使うこと無く1日が終わる。オークランドにある洒落たセレクトショップに勤める隣室のハウスメイトは「明日から3週間旅行に行ってきま〜す♡」なんて日々エンジョイしているというのに、なぜ私はこんなに内向的で暗いのか。…暗い、暗すぎる! どうして、いつもひとりでいることを選んでしまうんだろう…? 誘ってくれる人が居ないわけじゃないのに。特に差し迫った予定も無いのに「今日はちょっと…」なんて言って、引きこもってしまうのだ。あぁ、暗い…。

そんな筋金入りの出不精な私を友だちがお散歩がてら訪ねてくれたので、部屋でお茶をしながら久しぶりの談話♡ お互いにメタフィジカルな世界に興味があったということで盛り上がる。「編集者時代いろいろ頁を作ってみたんだけど、どうしてもフワッとした感じになっちゃって。はっきりとした論拠を言い切れない世界だから、なんか占いとかおまじないっぽい感じになったり。逆にお坊さんとかに瞑想について語ってもらうと説教臭い、宗教臭いって引かれちゃったりね。だから科学的根拠がとれるもので一番理数系から遠くてOKなものって考えたら心理学かなって思って勉強してみたんだけど、瞑想しながら自分の心の動きを観察していると、感情とか肉体(脳)とかってレベルだけでは捉えきれない部分が多くて。じゃあ何を学んだらいいのかっていうのは未だわからなくって瞑想だけに迷走中(おやじギャク……)」と心の内を吐露した。

すると友だちがゆっくりと深く頷きながら、「ねぇ、アヤちゃん。まず、ドンズバ気になるところを突き詰めていってみてもいいんじゃないかな」とひとこと。彼女は超高学歴、エリート研究者だったが、今はそのあたりから完全に突き抜け、全くの別世界で羽ばたいている。まぶしい……。「なんか怖いなぁ…。それ、やりきったところで使い物にならなさそうで」と言いながら現状を振り返ってみると、どのみち世間で役立つ人間ではないというアテクシ。「行き着いた先で、得た素材たちをどう変換するかを考えたらいいんじゃないかな? 編集者だったんだし、そういうの得意でしょ(笑)」。彼女のアドバイスはとてもクレバーで、核心をついている。「あ、そうだ」と、ちょうど翌月から彼女のカウンセラーが月に二回のペースで、エネルギー心理学のクラスを始めるという。「一緒に勉強してみない?」と誘われ、一か八か飛び込んでみることにした。

エネルギー心理学って?

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エネルギー心理学のクラスが催されるという指定の場所、オークランドにあるクリニックをたずねると迎えてくれたのは、ほっそりとした真顔も笑顔なピィーだった。彼女はJohn F.Kennedy大学で心理学のマスターを取得したカリフォルニア州認可セラピストであり、ヒーラー。シータヒーリング(脳波をθ波に合わせ、無意識下の思考を癒し解放するとされるヒーリングメソッド)、TAT(体の部位を軽く指圧しながらネガティブな感情やトラウマを消し去るとされる代替セラピー)、DEH(シャーマンの智慧、エネルギー心理学、心理学を組み合わせた代替療法)など、エネルギー心理学をベースとしたワークのインストラクターでもある。

「まず始めに、エネルギー心理学って、何だと思いますか?」とピィー。「うーん……。例えば原因不明の腰痛で悩んでいて病院を訪ねたら「ストレスです」と診断されたとしますよね。鍼灸だと肉体を媒介にして症状にアプローチし、心理学だと思考や感情を糸口に働きかける。エネルギー心理学は、私たちを形作っているさらに本質的な領域、無意識下のもっと深いレベルまで踏み込める治療法なのかな…と漠然と思ってやってきました」と答える。「良いですね。そしてエネルギー心理学は、鍼治療の経絡理論、神経科学、物理学、量子力学、生物学、医学、シャーマニズムなどの古来の智慧、心理学など、関連する分野の概念、技術を統合して行います。さて今日は何をテーマに学びましょう?」。ピィーの授業スタイルは、決まりきったカリキュラムは無く自由で、あくまでも生徒とのやりとりをベースにした有機的なものでありたいという。

「今私が知りたいのは、どうしたら無条件に幸せになれるのかということ。他人や世間の評価や、お金があるとか無いとか大きな家に住んでいるとかいないとかといった外的な条件に左右されず、自分で自分の愛やエネルギーに繋がれるようになりたいんです。スワミ(ヒンドゥー哲学の先生)からは、それは私たちに内在する無限のエネルギーにアクセスすることで、自分のゴミ箱(シャドー)を認めて受け入れた先にあると言われ続けています。「なるほど」とわかっているのに、どうしても「私は至らない」「まだまだこれをしなければダメだ」という思考が邪魔をして、不足感の中で生きてしまいます。この要らない思い込みを手放さないと幸せを感じられないとわかっているのに、過ちを繰り返してしまい、実践するのが難しいんです」。

ピィーは大きく頷きながら「では不足感と逆のもの、豊かさとあなたが繋がった場合、どんな怖いことが起こりうると思いますか?」とたずねてきます。さすがカウンセラー、良い質問!「他者からの妬みです」と、意外にも即答する私。そんなふうに思っていたんだ、私ってば…。「人から妬まれたら、どんな恐ろしいことが起きますか?」。「つまはじきにされて、ひとりぼっちになってしまいます」と返事をしたら、胸がキリリッと痛んだ。「でも……今豊かさの感覚とつながっていませんが、どのみちひとりぼっちですね」と自分の計算式の矛盾に気づくと、ピィーがにっこり。

有害な思い込みが潜む、4種類のレベル。

ピィーの笑顔に安心し、私は続けます。「苦しみを体験すると、”なぜこの人とわかりあえないのだろう“ ”どうしてこんな気持ちになるのかな“ ”どうしたらこの心の痛みを変容できるのか“ と考える機会が持てます。今この授業を受けているのもそうですが、それは私が学び続けることへの原動力にもなっていて。また、辛い経験をすることで気づきの幅も広がり、少し優しくなれるようにも感じます。元来ナマケモノなので、豊かさに繋がったり幸せな状態になると勉強も、努力もしなくなる。そうなってしまうのが怖いというのもあります」。

なるほど、「至らない」「不十分だ」という自覚の奥には、苦行を乗り越えてやっと願いを叶えることこそが素晴らしい、という私の信念もあるのだ。それに対してピィーが「でも、学びの動機が単なる好奇心というのでもいいでしょう? それから苦しみを知らないと人を幸せにできないって、では笑顔で癒してくれる赤ちゃんはどうなんですか? 思いやりを育むために、痛みや苦労は不可欠ではありません」と、私の不要な思い込みの矛盾をついていく。まさに、その通りだ。

無意識レベルから顕在意識下まで、私の抱いている不要な思い込みを浮かび上がらせられたのはいいけれど、いったいその信念体系はどこからやってくるものなのか。そして、自覚しているのにパターンが変えられないのはなぜなのか。「リリース作業を進めるうえで、まずあなたのその思い込みがどのエネルギーレベルにあるかを知る必要があります」と、ピィー。彼女のシータ・ヒーリングを元にした考えによれば、その出処は4つの段階に潜んでいるという。

信念体系を形成する4つのレベル

1.コア信念レベル:「私は十分に賢くない」「人に迷惑をかける自分は存在価値がない」などといった自分が抱える核となる信念。子供のころから大人になるにつれて他者(親、教師、親しい友人など)や社会によって教えこまれた結果、受け入れてきた考え方で、私たちを形作るエネルギーの一部となっている。

2.ジェネティック信念レベル:祖先から受け継いだ遺伝による信念パターン。ネガティブ、ポジティブに関わらず、血族から伝承された思考や行動様式が遺伝子レベルで組み込まれる。このインプリントは物理的なレベルで考えるDNAではなく、DNA形成時のエネルギーとして保持されたものと捉える。

3.ヒストリー信念レベル:現世や前世で実際に起こった出来事、思い出が引き金となって抱いた信念。母親の子宮の中での深い記憶も含む。

4.ソウル信念レベル:魂レベルの信念。信念レベルのなかで最も深い層に位置し、ハートのチャクラ(胸の中央あたり)にエネルギーが存在する。このレベルにある不要な信念をクリアにすると気持ちが軽やかになったり、平穏な気分になる。

「さぁ、あなたの信念体系がどこからやってくるのか、キネシオロジー(筋反射テスト)で診ていきましょう」とピィーに促され、起立。キネシオロジーとは、筋肉を通して本音を読み取るテクニックだ。「背筋を伸ばして真っすぐ立って。両手は肩をリラックスさせて体のサイドに。目を閉じてたずねてください。『Yesのサインを教えてください』と」。結果、私の場合Yesだと体が前方に、Noは後方に傾く様子。ペンジュラム(ダウジング用の振り子)を用いる場合も多いが、初心者にはこれが一番わかりやすいという。Yes Noの筋反射を手がかりにしながら、潜在意識に問いかけていく。「私のこの『ありのままの自分では至らない』という信念体系はコアレベルからくるものですか?」というように、コアレベルからソウルレベルまでひとつずつゆっくりと。

胸の中央をさすりながら信念体系を解放すると、涙が。

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キネシオロジーの結果、私の信念体系は2のジェネティック信念レベルからくるようだ。再び筋反射テスト(今度はピィーがペンジュラムを用いて)を行った結果、父方は5世代前、母方は7世代前と父母両方の祖先から代々受け継いできた、根強い信念体系だという。「あなたのご両親はよくやったと思うわ。なぜってご自身もこのパターンを受け継いでいるけれど、あなたはヒストリーレベルでは体験としてそれを抱えていないから。さぁ、もう手放しましょう」。

解放の方法は、ハートのチャクラのある胸の中央あたりを優しくさすりながら目をつぶってアファメーションするというもの。「あなたがたから受け継いできた『私は至らない』『何かであらねば存在する価値が無い』という信念を私はもう受け継ぎません。それらを手放します」。そう声に出して宣言するのだ。私がジェネティックレベルの信念をクリアできれば、最大7世代前の(もしくはそれ以上、つまり兄妹や子孫まで)DNAを共有するすべての関係もクリアされるという。そこで父と母、兄、祖父と祖母と目を閉じて思い浮かべていると、その先の会ったこともない着物姿の人たちの姿もふと浮かんできた。すると、左目からのみ涙がツゥーっと。「どうですか?」とピィーに尋ねられて、目を開けるとクンダリニー瞑想中にいつも体験するのと同じように視界が、紗がかかったようにふわっとして強い光に包まれている。

「彼らの悲しみがハートに直接伝わってきました。ひどく不憫に感じ、『あなたたちは十分にやってきた。もう苦しまなくていい。みなさんが居なければ、私は存在できなかった。だから、本当に有難うございます』と伝えました。どうしてこんなに精一杯やってきた人たちが自分を責め続けなければならないのか。その苦しみを取り去ってあげたいと思いました。彼らに対するあふれるような感謝の気持ちが湧いてきて、そしてもうこの信念体系による痛みや苦しみを次の世代に受け継ぎたくないとも」と答えた自分が、普段よりもどこか凛としていて、うまく表現できないのだけど…。私が目の前のピィーを見ているのだけれど、私以外の誰かが私の目を使って彼女を見つめているような、そんな不思議な気分になった。

まるで青竹入り羊羹。何かがズルンッと抜けてった!

その翌日、とても奇妙な体験をする。気絶しそうなぐらいに眠かったので、目の前の全てを中断し、とことん寝ることに。すると眠りながら激しい悪寒が。私は神社やお寺にいった翌日に高熱を出すことがあるので『また、あれか……』と思いつつ、『明日プログラミングのワークショップ、朝からあるから困るなぁ。まぁ、仕方がないか。身を委ねます……』と考えていると、何かがズルンッと体から抜けていった。青竹入りの水羊羹ってありますよね、アレみたいな感じ、笑。かなり深い睡眠だったのだけれど、体験したことのない異変に「な、なんじゃコリャ」と思わず目を覚ましたぐらい。

その体験の後1週間ぐらいは、ものすごーーーーーーーーーく、気分が落ちた。「おいおい、エネルギー心理学って大丈夫なのか。タッチしちゃいけない領域まで入ってしまったのでは」と正直不安になったけれど、ピィーは信頼できるカウンセラーだと感じたので、落ち込みに抵抗せず、ちょっと離れて観察してみることに。そこでなるべく緑をみたり、寝たいだけ寝たり、部屋を掃除したり、ピィーにもらったアロマオイルでマッサージしたり、フレッシュなフルーツを食べたりとなるべく穏やかに過ごした。すると少しずつ気分も回復していき、ニュートラルな状態になった、2週間後。二回目のピィーのエネルギー心理学の授業へと向かったのです。

See You!

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写真:doTERRAのオイル
授業のあとにピィーにプレゼントされたdoTERRAのエッセンシャルオイル、White Fir。世代間の思考パターンを顕在化させ、クリアしていくという。1日に二度、胸の中心に数滴塗布する。

写真:Blue Bottle Coffeeのカプチーノ
Greater Good Science Centerのインターンを辞めた後、カナダ在住の編集者がバークレーに来るということで誘われてお茶を。「実は履歴書見た時点から、なんでこんなにいろんな資質がある人がこのポジションに応募してきたのかなって疑問に思っていたのよ」と言われ、「えっ、そうだったのー?!」。他人が自分のことをこう評価しているはずというのも、自分の信念体系という色眼鏡から判断したもの。だから実はそれって真実じゃないのかも。

写真:蜘蛛の巣ハウス
ハロウィーンが近くなると、お化け屋敷デコレーションをするお家がちらほらと。遊びゴコロがあって、良いですよね。見習いたい。

See You!
今年3月、バークレーClaremontにできたヴィンテージショップにて。「欲しい」「いや、買い物なんてしている場合じゃない」とせめぎ合う心の内がちょっと不安な表情に出ているなぁ。



【これまでの「会社を辞めて、こうなった」】

【第1話】37歳で再スタートって、遅いですか?
【第2話】サンフランシスコ式クリスマスの過ごし方。
【第3話】まるでBar状態! サンフランシスコ図書館は、フレンドリーすぎ!!

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