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【10万円のクリームで体感する美と枯れる恐怖心】おおしまりえのキレイな悪口

文・おおしまりえ — 2017.1.31
「こんなブス顔じゃ愛されない!幸せになれない!」なんて、オンナと人生を格闘している女子に送る、キレイと幸せが手に入る(?)痛快エッセイを毎週お届け。オンナの旬を過ぎつつある三十路の恋愛ジャーナリストおおしまりえが、向き合いたくないけど向き合わなくてはいけないオンナの性と美、そして恋愛に対して、毎週真っ向勝負を挑みます!

【おおしまりえのキレイな悪口】vol.3

10万円のクリームで体感する美と枯れる恐怖心

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最近私は、10万円の美容クリームを使っている。

すごいだろう!と偉ぶってみるけど、なんてことはない。母親が知人にプレゼントされたのを、「お母さんはオーガニック化粧品しか使わないんだったよね?ね?」と、半ば脅して奪い取ったのである。

多分人生を順当に生きても、使う事はないであろうこの10万円の美容クリーム。とりあえず期待値を金ちゃんの仮装大賞ばりにギューンと上昇させながら、口コミサイトで評価を見ると「朝、肌が生き返っているのがわかるぅ!」「ハリ、キメ、白さ、どれを取っても細胞レベルで違います」「思わず自分の肌に見とれましたあああ」と、絶賛の声しか書かれていないではないか。

私も明日の朝起きたら、顔が松嶋菜々子くらいに生まれ変わっているんじゃないか……そんな期待をぎゅうぎゅうに込めながら、クリームをたーっぷり塗り込み(なんせもらった物だから、もったいないという感覚もない)早めに床についた。

■高級クリームで私は美人に生まれ変わる?

翌朝の肌は、当然っちゃ当然であるが、物っ凄く調子がイイ!
松嶋菜々子にはなれなかったけれど、とにかくこのクリーム、オドロキ~!と結局IKKOさんになってしまっているが、翌日もその翌日も、もらい物という有り難さゼロの気持ちから、1,000円分くらいのクリームをたっぷりグリグリと塗り込み、私の顔面砂漠は日をおうごとに天からの恵に歓喜し、オアシスとなり、産毛たちも踊り狂っていた。

しかし、盛者必衰というのはこのことである。クリームを1週間、2週間と使い込んでいくうちに、不安な気持ちが芽生えるようになってきた。

「もし、このクリームがなくなったら、私の肌はどうなるのだろうか」と。

もちろん10万円のクリームを買い足すお金も気合いもさらさらないし、かといって、この産毛も毛穴も歓喜する幸福感を忘れたくない。でも、刻一刻とクリームの残量は減っていく。もってあと4週間くらいか……来月には同窓会があるから、それまでは持たせたいかも。
泣く泣く一回1,000円分くらい使っていたクリームの量は、800円、600円、500円と、量を切り詰めることで延命を試みるようになった。

■美がなくなるという恐怖感は女を変える

クリームに慣れ始めたこともあり、冷静に肌を観察する日々が始まると、“特別が当たり前に変わり、当たり前が枯れてなくなり始める”という現象をひしひしと体感し始める。

この感覚はきっと、女としての生き方の焦りと、イコールなのではなかろうか。私たちは、気づいたときから少女になり、そして女性になり、子どもを産めばママになる。子どもが手離れしたら、もう一度女に戻るのか、ママのまま老いと向き合うのか……自分という個性を見つめるとやっぱり綺麗な女でいたい。

そんな切羽詰まった感覚は、女をアンチエイジングの道へ駆りたてるのではなかろうか。

■美魔女は苦手…その理由とは

アンチエイジングの鬼になった女性たちが行き着く先、それはやっぱり“美魔女”という年齢不詳の“ビジョ”であろう。

私も努力なくしてなれるんだったらなりたいけれど、正直なところメディアに出まくる“ガチの美魔女”という存在は、ちょっと怖くて苦手だ。
美へのストイックさには本当に頭がさがるのだが、一般的に美魔女と呼ばれる人の8割は過剰な若作りという感じがしてならないのである。

先日あるアラフィフ美魔女に会ったのだけど、アラフィフとは思えないスレンダーなスタイルは素晴らしいものの、ひらひらのプリーツスカートやベビーピンクのニットをブリブリさせている姿は、サイズはあっているのに顔だけ浮いていて違和感が……その姿はまるで“おしゃれの暴力”とでもいうべきか。

年齢相応という価値観は、下の世代から見上げたとき顕著に感じる要素なのだな。そう思いながら彼女を見ていたけど、彼女は自分より年上の男性からはモテまくっていたので、どの層からのウケを重視するのかといういわばマーケティングの結果が、若作りなのだということが1つ言えそうだ。

ちなみに他にも美魔女ウォッチの結果わかったことがいつくかある。

・ベリーダンスorヨガ習ってる率=90%
・オーガニックや自然由来が大好き率=80%
・なんかしらの社会貢献に熱い率=70%

という行動や嗜好にかなり偏りがあるのである。

自身を磨き、人生をかけて女を楽しみ、そして美しくあろうとする姿は素晴らしいはずなのに、どうしても彼女たちのようになりたいと思えないのは、きっと美魔女という生き方に、ある種の“量産型”な必死さを感じるからかもしれない。

一度美人として扱われた過去があるからこそ、年齢を理由に女のレベルを落とせない。私はまだまだいける!そう思えば思うほど、必死に“素敵そうなもの”にトライし始め、結果、ベリーダンスを習い、オーガニックを取り入れ、社会に良い影響を与えたいと思い、汗を流すのではなかろうか。

これは向こう10年くらいを通して、私自身が導き出したい生き方の1つテーマでもあるが、できれば年齢を重ねるごとに、彼女たちから漂う「私を見て~」という自己顕示欲の強さは手放して自由に生きたいものだ。

高級クリーム1つで女の生き方を見つめ、そして未来を想像する機会をもらえるとは思わなかった。

最後のひとすくいを塗り込みながら思いを馳せると、母から思わぬ連絡をもらった。

「あのクリーム、またもらったけど、使う?」

「え、あ、ま、えあああああああああああっしゃあ!!!」
見つめ直すべきは肌ではなく、私のこの図々しい根性なのかもしれない。


【おおしまりえのキレイな悪口】
vol.1 美人眉と女の友情に共通する“なんとなく”精神

vol.2 正直者はバカを見る?真っ直ぐ生きるって難しい



おおしま りえ/恋愛ジャーナリスト
10代より水商売やプロ雀士などに身を投じ、のべ1万人の男性を接客。本音を見抜く観察眼と、男女のコミュニケーション術を研究し、恋愛ジャーナリストとして活動を開始。私生活では20代で結婚離婚を経験した後、現在「女性自身」「週刊SPA!」「ananWEB」など大手メディアを中心にコラムを執筆中。
ブログ:http://oshimarie.com Twitter:https://twitter.com/@utena0518