【K-POPの沼探検】独自のワードや文化を掘り下げるペン座談会。#12

文・小泉咲子 — 2017.1.23
知れば知るほど、もっと沼にハマるK-POP独自のワードや文化を、長いペン歴を誇る3名が解説! すでにペンの方にも「それ、わかる~!」と共感してもらえること間違いなし。K-POPペンの、K-POPペンによる、K-POPペンのための座談会をどうぞ。

【ペンになっていいですか!?】vol. 12

K-POP通が伝授!知りたい独自ワード&文化

本連載スタートから3か月ほどが経ち、K-POPの沼にハマりかけている方もいらっしゃるのではないかと(希望も込めて)。今回は、K-POPの沼に落ちると必ず触れることになる、独自のワードやカルチャーについて、K-POPを愛してやまない3人に解説してもらいます。

<座談会出席者>
S・Y 韓国エンタメを主戦場にするライター。韓国アイドル第1世代のSHINHWAにハマって以来、K-POP沼にどっぷり。現地情報にも詳しい。

A・W  K-POPを愛し続けて6年。新人グループへの嗅覚が鋭く、推すグループはことごとく売れている。ボーイズ、ガールズ問わず知識豊富。

M・K 韓流系担当編集者。約8年前に東方神起にハマって以来、部屋は大型テレビやBlu-rayレコーダー、スカパー、AppleTVなどK-POPを見るための機器中心の空間に。

マスター 

――K-POPのファンになって、最初に驚くのがおびただしい数の写真と動画が上がることかと。一般人がスマホで撮影したものもありますが、“マスター”と呼ばれる人たちがすごい本格的なカメラとレンズ(通称:大砲)で撮影して、HPやSNSにアップするのは、K-POPならではの応援方法ですよね。どんなところで撮影しているんでしょう?
M・K ひとつは、歌番組の収録での入り待ち。「ミュージックバンク(通称:ミューバン)」の“出勤”は名物になっていますよね。
A・W 他の歌番組だと、アイドルたちはテレビ局に車を横づけしてすぐ中に入っちゃうけど、「ミューバン」は会場のホールに入る前にペン用のスペースがあって、その前をアイドルが通ってくれるんですよね。もちろん、マスターでなくても入れます。
S・Y K-POPアイドルの活動サイクルをざっと説明すると、カムバック(通称:カムバ/新曲リリース)があって、活動期に入り、歌番組への出演などの放送活動があって、あとはイベントやコンサート。そこでもマスターの写真がガンガン上がりますね。
A・W 活動期には、CDを買って抽選に申し込み、当たるといけるサイン会も。2時間だったら2時間、ずっとシャッターを切っていて、データの取り込みと整理だけでも大変だろうなって思いますね。
M・Y 活動期に限らないですが、国内外を行き来するアイドルが空港に現れたときに撮られる“空港サジン(サジンとは写真のこと)”も定番。空港まで追いかけなきゃいけないなんて、マスターって大変だなといつも思う(笑)。
A・W でも最近、マスターさんの回転が早くないですか? ちょっと前まではAというグループだったのに、Bのマスターになってる。
S・Y 韓国は、基本的にカケモ(掛け持ち)禁止なんですよ。誰かのペンの間は、他のグループを応援してはいけない不文律がある。一般のペンならさほど問題になりませんが、バレれて袋叩きに遭ってマスターをやめさせられた例も。
A・W マスターは、あれだけ現場で顔を合わせていると関係性も大変だろうなと思います。メンバーの名前を呼んでもこっちは見てくれなかったのに、あっちには目線あげたとか、しょっちゅう揉めていて、泣き出す子も……。
S・Y 確かに、マスターによって、目線全部アリとかありますよね。超人気グループの目線をもらえるマスターは、みんな美人だって噂(笑)。
A・W 見た目だけの問題ではなくて、行儀のよくないペンには冷たいアイドルも。やっぱりマナーは大事です。

――マスター撮影の写真には厳しいルールが存在し、K-POPにハマったばかりの人は注意が必要ですね。
S・Y トリミングを含む加工はNG、SNSのアイコンやヘッダーに使ってはダメ、写真内にあるマスターのクレジットやロゴ消し禁止など、ルールがあります。マスター写真についてのルールは厳しいんだけど、雑誌のスキャンに対してはなぜかユルい傾向が……。

――そもそも雑誌のスキャンをネットにあげる行為は許諾を得ない限り著作権問題。ぜひ、買って楽しんでもらいたいです。
S・Y そのグループが出た号の売り上げや反響を見て、次に出演してもらうかどうか決まる部分も少なからずあるわけですからね。推しのグループが出ると必ず「掲載してくれてありがとうございます」と、編集部にお礼のアンケートハガキを送ってくれるペンがいるんですが、すごく励みになりますし、また載せたいってなるんじゃないかと思います。

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ペンカフェ

――ファンクラブの在り方も、日本とは違いがありますよね。
S・Y マスター私設の“ペンカフェ”というのがあります。ざっくり言うとサークル。コンサートの時に、お金を集めて米花輪(サルファファン/韓国では花ではなく米を贈るのが習慣。後に児童養護施設などに送られる。米でなく練炭の場合も。いずれもボランティア的要素が高い)を送ったり、メンバーがドラマに出る時にケータリングを出したり。
A・W “サポート”と呼ばれているものですね。
S・Y 韓国のポータブルサイトのDaumで始まったもので、今はNAVERでもやっているけど、伝統的にDaumが強い。ペンカフェには出席チェックがあって、書き込みなど参加していないと退会させられることもあります。
A・W 頑張って出席すると、正会員にレベルアップができて、閲覧できる範囲が広がります。
S・Y ペンカフェとは別に、大きなグループになると、事務所公認のファンクラブがあります。かなり豪華な入会特典がもらえる。
A・W 韓国の公式ファンクラブは会費が安く、海外のペンにグッズを送る送料の方が高くつくことも。その公式ファンクラブに入ることが、音楽番組の収録に参加できるかどうかにも大きく関わってくる。韓国の場合、日本のようにいつでも入会できるわけではなく、更新も1年ごととは決まっていない。だから新たに募集がかかるのを待たないとならないんですよね。
S・Y 1期、2期と続いていくんだけど、その期間はまちまち。
A・W 「そろそろか?」ってペンの間でザワつくんだけど、なかなか募集のお知らせが来ないグループも(笑)。
S・Y ファンがザワついているのを見て、「そうか、そろそろやんなきゃな」って動き出す事務所もあるくらい(笑)。

米輪&サポート画像

センイルクァンゴ(誕生日広告)

――ペンカフェの活動として、誕生日のサポートもありますよね。
S・Y ソンムル(プレゼント)を買う資金を集める以外にも、駅に誕生日広告を出したり。ホンデ(弘大)、アックジョン(狎鴎亭)、サムスン(三成)あたりが多いかな。あとは、お祝いするアイドルが生まれ育った街の駅とか。広告が出ている駅をマッピングした地図が出ることがあって、それを見ながら各地を巡るのも楽しい!
M・K ラッピングバスもよく見かけますよね。街で遭遇すると、テンションが上がります。以前、広告に対する規制が厳しい日本でもやっている強者がいてびっくりしたことがあります。

ソンムル文化

M・K 以前、コンサート会場で、隣りになったペンから、お菓子のソンムルをもらったことが。私はお返しするものがなく、いただいただけだったんですけど、ペン同士でよく交換していますよね。あれって、日本だけの習慣ですか?
S・Y 日本だけですね。お菓子を配るのは決まりではないけど、自然発生して定着していますよね。日本のおもてなし文化がベースにあるんじゃないかな。
M・K SNSを見ていると、コンサートに向けて一生懸命手紙を書いたり、ソンムルを袋詰めしたり、準備しているペンの姿が微笑ましいです。
A・W 韓国のコンサートだと、マスターがうちわやカードなどを作って配りますよね。そのお返しに、日本人はお菓子をあげる人が多い。

Vアプリ(ハングル読みは“Vエップ”)

――NAVERが運営するリアルタイム放送“Vアプリ”(http://www.vlive.tv/)の登場は、アイドル&ペン双方にとって画期的だったのではないでしょうか。
M・K Vアプリで、K-POPアイドルが気軽に自分たちの映像を発信できるようになって、ペンも楽しみが増えましたよね。
A・W Vアプリは大活躍!住んでる寮から部屋着で話してくれたり、コメントに書き込まれた質問に答えてくれたり、アイドルが近くに感じられます。
S・Y 深夜に配信始めちゃって、マネージャーから「もう寝ろ!」とか怒られてる声が聞こえたりね(笑)。
A・W 自由度が高いから、映っちゃいけないものが全世界に配信されてるんじゃないかと心配になります(笑)。
M・K ロゴを隠そうとガムテープを貼っていても、小さすぎて隠しきれてなかったり(笑)。

〇〇line

――年齢を言う時に、92年生まれなら92lineと言うのもK-POPペンならではの言い回し。
M・K Twitterで、「何lineですか?」と聞かれると焦ります。
A・W 01lineとかもいますかね。ペンもアイドルも。
M・K イモペン(“イモ”とは韓国語で“おば”のこと。イモペンとは一般的に30代以上のペンを指す)も、SNS上では恋する乙女なので、そっとしておいてほしい(笑)。
S・Y プロフィールにlineを書いてない時点で察してもらえると(笑)。

次回は、3人が注目する新人ガールズグループを紹介!

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