サザエさん症候群はアラサー女子にも牙を向く。

2016.3.12 — Page 2/2

世間が考える幸せな結婚がツライ

そうして世間的にみると、「イイ男」な殿方と運良く結婚していただき、私は安定した生活で、ぬくぬくといつもの自分に回復していった。しかし元気になるにつれ、結婚前に見えた安定という輝きが、だんだんと足かせになってくるではないか。自分でインテリアを決めて生活を彩れば、自分勝手だと思われ、「女性は男性の好みを叶えながら、幸せにしてもらうベキなのか?」と悩む。

料理もメニューを毎日考えて、仕事終わりに急いで用意するのが辛くなり、「料理くらい、女がやるベキなの?」と悩み、できない自分に自己嫌悪。さらに飲み会の回数を減らしたり、減らさなかったりしていたら、色々家庭がおざなりになっていき、「女が家と夫を守り、ささえるベキなのか?」と妻のなんたるかに行き詰まる。

おかしい。ついこの前まで、素晴らしいと思っていた理想の生活が、こんどは私の心を色んな“ベキ論”でギュウギュウ締めつける。ていうか、相手が悪いのか? いや、相手は結婚条件としては完璧に常識的でイイ男なのである。それに合わせられない、私がおかしいのである。多分。

今思えば、「価値観の違い」そのまんまな話だけど、渦中にいるときというのは、冷静に考えられないものだ。

ただ一言、「価値観の違いを押し付けないで!」が怖くて言えなくて、かなり窮屈な環境を自分で作り出し、結局お互いが爆発して、離婚してしまった。今でもそれなりに、反省している話。

結婚は弱った私を救うプレミアチケット

そんなニガい思い出があるから、本当はA子のチョイスには賛成できない派。だってA子だって、私と同じくらい仕事とお金が大好きな、賢く行動的な娘さんなのだ。

でも「傷つきたくない」という気持ちや「今しかないかも」という不安から、“確かそうな正解”を選ぼうとする気持ちもわかるし、やっぱり日曜日を一人で過ごすと、寂しくなるものだ。

結婚という選択は、仕事に弱っている自分、年齢に焦っている自分を救ってくれるプレミアチケット。そこでしくじると、本当におしまい…と感じて、女は保守的になるのです。いや、結婚したら愛なんて消えると前情報があるから、消えても「この人でよかった」と思える男性を求めるのかもしれない。

「結婚相手は安定的な男性とするベキ」
「30歳ならそろそろ結婚すベキ」
「仕事より、家族を大事にできる女になるベキ」

とにもかくにも、どのベキ論も正しく見えるけど、学んだことは1つ。

「弱っているときに、結婚す“ベキ”ではない」ってこと。

ああ女って、どっちにしてもベキ論に縛られてるなあ。


おおしま りえ/雑食系恋愛ジャーナリスト・イラストレーター
10代より水商売やプロ雀士などに身を投じ、のべ1万人の男性を接客。20代で結婚と離婚を経験後、アップダウンの激しい人生経験を生かし、現在恋愛コラムを年間100本以上執筆中。そろそろ幸せな結婚がしたいと願うアラサーのリターン独女。
HP:http://oshimarie.com