好きと言ってくれる人とラクに恋したい。
メールが続きません…
それは翌日のこと。ダニエルから連絡が入る。
「昨日は楽しかったね! ところで日曜は何してるんだい?」
「こちらこそありがとう! 今日は友達とランチしてる」
「そうなんだー。もしよかったらお茶でもしない?」
「いいね……え、あっ…」
ダニエルは日本語がまったくしゃべれないじゃないか!
全く抜けていたけど、これじゃあデートが成立しないのは目に見えている…。
(いっちゃう? 英語できないけど、私いっちゃう? う〜むむむ)
「ごめん、無理!」
ぴしゃりと断りの返事を送り、次は酔っても日本語が話せる男性を絶対選ぼうと決意する。
運命の再会は突然に!?
その1か月後、別の友達と都内のクラブで遊んでいたときのことである。ここの客層は9割が日本人。先日の六本木とは客層も異なる場所である。お酒を飲んでフラフラと踊っていると、前方の壁からふと目線を感じた。
視線を向けてみると、見たことのある顔…。
ダニエルである。
実はそのあと、何度かお誘いがあったものの、「日本語が話せないんじゃお役御免だ!」とえらそうに、ガン無視したりスタンプで流したりを繰り返していた。そんな彼が、前方10m先にいる!
ズキューン! デスティニーーーッ…なんてノリになるわけはない。
「やべえ!」
反射的にサッと目線を外してしらぬフリをしていると、ダニエルが追いかけてきた…わけではなく、携帯が鳴った。
「今、●●ってクラブにいる?」
WHY!? メール!?
すぐそこに相手がいるのに、なぜかLINEで連絡をよこす彼。アメリカ人ってみんな陽気なはずでは? という偏見と謎から、つい返事をしてしまう。
「…YES」
「やっぱり♪ キミを見かけたよ!」
「すごいカワイイ」
と、連続で連絡が入る。
WHY!?!? 話しかけてこい! ダニエエエエエル!!!
「ぼく、いつも一人なんだよ〜」
とサミシイアピールのおまけつき。だ・か・ら・なぜ前方10m先に本人がいるのに、声をかけずにメールするのだ? 中学生なのか? シャイなのか? こっちから声をかけろという合図なのか?
いやまて、こんな大都会TOKYOで2回も偶然出会うということは、これって運命? デスティニー? いっとく? でも英語喋れないし外国人はやっぱり…そんなことをモジャモジャと考えながら待ってみたけれど、「やっぱり外国人ってなんか無理」という結論は変わらず、ムシして帰ることにした。運命の再会だったのに…。
「好き」に飛び込めない自分が憎い。
店を出たあと、友達にこの件を報告すると、「運命逃したね!」と言われた。「えー!? そんなことないでしょ!」とその場は笑い飛ばしたけれど、真実は闇の中である。ただ「好き」といってくれる男がいるのに、ひとまず飛び込むことができない自分のワガママさとヘタレさが憎い。
そういえば婚活疲れを起こしたある女友達は、映画やマンガが大好きで、そっち系メンズからは「スキ!」を定期的にもらうのに、なぜかアウトドア系男子とばかりデートして、「モテない」「収穫がない」と嘆いていた。
そのとき「ターゲットの問題だよ!」と軽く答えた私だけれど、なかなか抜け出せない過ちなのか…。
でも、これが贅沢なのはわかってる。選びまくれる立場じゃないのもわかってる。だけど、目の前を通り過ぎる食べる気のない料理(男)を、ひとまず食べて、胃もたれを起こすのも、なんだか嫌である。もちろんつまみ食いなら話は別だけど、結婚というたった1回きりの特別な食事なら、なおさら美味しくて食べたくなる逸品を求めたい。今はまだ。
ということで、外国人はもうやーめた! 今年は理想を追い求めようではないか。そんな決意を胸に気持ちを入れ替えると、ふとある恋愛コラムが目に飛び込んでくる。
『食べる物にうるさい女は、男の好みもうるさい。故に行き遅れる』
げげ、それって、私のこと?
おおしま りえ/雑食系恋愛ジャーナリスト・イラストレーター
10代より水商売やプロ雀士などに身を投じ、のべ1万人の男性を接客。20代で結婚と離婚を経験後、アップダウンの激しい人生経験を生かし、現在恋愛コラムを年間100本以上執筆中。そろそろ幸せな結婚がしたいと願うアラサーのリターン独女。
HP:http://oshimarie.com