恋愛は高スペックより普通男子がいい時代?

2015.9.12 — Page 2/3

舞い上がり盛り上がるパイロット合コン!

「はじめましてー。よろしくお願いします」

幹事である私が先陣を切るカタチで挨拶をし、手際よく男女交互に席につく。どうでもいいが、この挨拶から最初の1杯目がくるまでの間が一番気まずい。自己紹介するには間が短いし、かといってお酒も入っていないからハイテンションで盛り上げると不自然になる。

「みなさん今日はお休みですか?」

ひとまず当たり障りのない質問で場をしのぐ。

「昨日インドから帰ってきたばっかりで、寝てないんですよ」
「い、インド!?」

思わぬ返答に唖然とした。インド発言も驚きだったが、合コンは終始パイロットという希少な存在かつ収入面でも勝ち組の生態に、みんな凄い凄いの連発であった。

「今年の夏は、パイロット仲間と海にいくためにタイへ行ったんだ」
「凄い!」
(凄い! けどなんで海を満喫するのにタイ!?)

「今年港区にマンションを買ってさ、家でホームパーティするのが最近のマイブーム」
「凄い!!」
(この人、私と対して年齢変わらないのに…港区にマンションが買えるんだ)

「CAとも付き合ってたけど、一番派手だったのはアナウンサーかな」
「凄い!!!」
(そのラインナップに、恋愛コラムニストは加えてもらえないだろうか)

目の前の人物は普通なのに生活の次元が違う。それが一番の感想だった。そうして大盛り上がりの中、合コンは終了し、女性陣は凄い楽しかった〜とみんな満足そうに帰っていった。

合コンが楽しくても押すのは面倒くさい?

そうそう経験のない高スペック合コンは、女性陣が全員楽しそうだったので私としては大満足。みんなさぞかし楽しんでいたから、その後も思い思いに連絡を取り合っていることを期待し、後日、女性陣に個別で進捗を確認したら意外な回答が返ってきた。

「あ、あの後、メールしてない」

馬鹿野郎っっ!!!!!! 思わず叫びそうになる気持ちをこらえながら、どういう了見なのか確認すると、全員口をそろえてこう言うではないか。

「凄い人だし、イイ人だったなーとは思うよ」

あんなに盛り上がっていたのは、単に人種の違いに凄いと興奮していただけのようで、だからその凄い世界の人ともっと親しくなりたいとか、人間をもっと知ろうという女子は一人もいなかった。最近「三高男子(高身長・高収入・高学歴)」を好む女子が減り、「三低男子(低姿勢・低依存・低リスク)」を好む女子が急増していると聞くが、その現場を目の当たりにした気分になった。まあ三低といってもみんな、「居心地のいい人」とか「価値観の合う人」なんて追加注文つきなのだが、2時間話しただけでその人との相性を判断するなんて、決断が早すぎやしないだろうか…