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ゲイである僕がNPO法人を立ち上げ、 カミングアウトするまで|多様な性、LGBTの世界 #2

2017.3.11
LGBTに関する認定NPO法人、”グッド・エイジング・エールズ”。このNPO法人を立ち上げた松中権さんは、いわゆるゲイ。大手広告会社勤務、40歳の男性で、一見 ”普通” の人に見えるでしょう。ゲイであることをカミングアウトするまでに、さまざまな悩みがありました。

LGBTに関する認定NPO法人、”グッド・エイジング・エールズ”。このNPO法人を立ち上げた松中権さんは、いわゆるゲイ。大手広告会社勤務、40歳の男性で、一見 ”普通” の人に見えるでしょう。ゲイであることをカミングアウトするまでに、さまざまな悩みがありました。

”絶対に誰にも言っちゃいけない”。マジョリティ世界に悩んだ学生時代

【多様な性、LGBTの世界】vol. 2

「A君はBちゃんのことが好きなんだって!」−。小学校高学年になると、おませな言葉が飛び交うようになります。そんなときに感じた違和感。僕が好きだといって思い浮かべるのは、女の子ではなく男の子−。なんだかみんなと違う感覚で、戸惑いました。男の子のことを好きだと言っているのは、女の子ばかりだった。僕は女の子に生まれるべきだったのかもしれない−。そういった思いも交錯しました。だけど、女の子になりたいわけではありませんでした。

ある日、テレビを見ていると、男性が男性を好きだという設定のキャラクターが出てきました。僕は、自分しかそういった人はいないと思っていたので、そのテレビ番組を見たときに安堵感を覚えました。しかし、その安心もつかの間。図書館で ”ホモ” という単語を調べたときに、”異常性愛”、”性倒錯” という言葉が出てきたのです。男の子のことが好きだということは今までも言ってこなかったけれど、もう、絶対に言っちゃダメだ。親にも言えない−。そう思いました。(ちなみに今では、そのような言葉は辞書などから削除されています。”ホモ” も差別的な呼称なので、使うのは避けましょう)

周囲に合わせて彼女を作ったこともあります。”同性愛は治る” かも、とまで思っていました。だけど、うまくはいきませんでした。当たり前です。治るものではないですから。石川県の高校に通っていたので、狭いコミュニティであることは認識していました。東京に行けば何かが変わるかもしれない−。いちるの望みを持って、東京の大学に進学。それでも、周囲に合わせる生活は変わりませんでした。やっぱり周りは異性を好きになる人ばかりだったのです。

価値観が変わった新宿2丁目とオーストラリア留学

大学在学中、オーストラリアに留学することになりました。留学が決まったのをきっかけに、勇気を出して新宿2丁目に行ってみたのです。そこに行くと、良い意味で驚きが待っていました。一見普通の学生やサラリーマンがたくさんいる−。僕は、初めて自分のセクシュアリティを他人に話しました。そして、そこでできた友達と、初めて本音で恋バナをしました。楽しくて、楽しくて、毎晩新宿2丁目に通いました。ゲイの友達ができ、嘘をつかなければならなかったところを気にせず話すことができ、嬉しかったのです。そして、オーストラリアに行く前に初めて彼氏ができました。

留学したときには、最初からゲイだということをカミングアウト。オーストラリアでは、みんなが「そうなんだ」と受け入れてくれました。日本もこういった社会であれば良いのに、と思いました。

日本に戻ってからNPO法人を立ち上げ、カミングアウトするまで

留学を終えて日本で就職すると、また元の生活に戻りました。会社ではゲイであることを隠し、プライベートの付き合いも断っていました。そんな矢先、ニューヨークに研修に行ったのです。ちょうどオバマ大統領が誕生する歴史的なタイミングで、日本も変わってほしいと強く思いました。そして、NPO法人を作ったのです。3月3日は女の子の節句。5月5日は男の子の節句。そのアンチテーゼとして、2010年4月4日に立ち上げました。

NPO法人を立ち上げ、雑誌でインタビューを受ける機会がありました。顔と本名を出して良いかと尋ねられ、迷いました。そのとき、「 あの人だったらカミングアウトしても大丈夫だ」 という人の顔が5人浮かびました。 それが僕の背中を押したのです。そうして決心し、 顔と名前を出すことを承諾しました。承諾するとともに、上司や人事担当、広報担当に伝えました。これが、2011年2月頃です。

反応はさまざまでした。僕から距離を置く人もいました。だけど、「そうなんだ!」「早く言ってくれれば良かったのに」といったポジティブな意見が多かったです。

僕のようになかなかカミングアウトできないゲイもたくさんいると思います。嘘をついたり、女性と結婚したりするゲイもいます。異性愛者からすると、同性愛者は異質なのかもしれません。だけど、さまざまなセクシュアリティがあるからこそ、それを受け入れてほしいのです。もっと自由な世界を。僕はそれを望んでいます。

〜LGBTのバトン〜

今回は、松中権さんにお話をうかがいました。
次のお話は、レズビアンのユミカさん。
昨年、女性のパートナーと結婚式を挙げたばかりです。
認定NPO法人グッド・エイジング・エールズのCAFEチームをメインに、精力的に活動されています。

Information

認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ

http://goodagingyells.net/


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