【ひと目惚れした相手は運命の人!?】胸キュン必至の純愛小説。福士蒼汰さん主演映画の原作『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』。本棚ダイアリー #1
最近、素敵なデートをしていますか?
【本棚ダイアリー】vol. 1
あなたはひと目惚れをしたことはありますか?
そしてその気持ちを伝えるために、名前も知らない相手に声をかけたことはありますか?
私の答えは、ノーです。
街を歩いていて「いますれ違った人、かっこよかった! めっちゃタイプ!」と思うことはあっても、その後、いわゆるナンパをしたという経験はありません。自意識が邪魔して絶対にできない! てんでヘタレです。
けれどもしも「この人は運命の相手だ!」という直感がビビビッと働いたら? 勇気を振り絞って、声をかけるのかもしれないな……。
七月隆文(ななつき・たかふみ)さん著『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』を読み始めたとき、真っ先にそんなことを思いました。
京都の美大に通う高寿(たかとし)は、叡山電鉄の車中で清楚な美女・愛美(えみ)にひと目惚れします。そこで彼は「勘弁してくれ」と思うのです。
これっきり、二度と会えないかもしれない人なんだから。
この電車を降りて別れたら、もう。
これが同じ大学とかバイト先の人だったらものすごく嬉しいことだけど、なんの接点もない、持てない相手をこんなに好きになってしまうなんて、もうなんというか……本当にやめてほしかった。(本文より)
この作品最大の魅力は会話のリアルさ。付き合いたてのぎこちない口調から、テンポのいいかけ合いになっていく過程が丁寧に描かれることで、ふたりの距離がどんどん近付いていくことが伝わってきます。
それにしても、ふたりのピュアさといったらもう、眩しすぎて直視できないほど。お互いをなんと呼び合うかを語る場面など、微笑ましくてニヤニヤしちゃう! だってそういう時期って誰でもあるじゃないですか? はたから見れば単なるバカップルだけど、嬉しくて楽しくてただただ幸せで……。
「わかる、わかるよ!」と、過去の経験と照らし合わせ、浮かれ気分でページをめくっている自分がいました。そう思うと読書って最高のアンチエイジングなのかも! ちなみにもっとも好きなのは、ふたりが最初に手をつなぐ場面です。
いいなぁ、と思った。カップルらしいことができているとかじゃなく、なんというか、ぼくと彼女が受け容れ合っていることが手の感触として確かめあうことができている実感が、幸せだった。(本文より)
手から伝わってくる温もりと「好きだよ(愛してるよ)」という無言のサイン。ああ、手がつなげるってこんなに幸せなことだったんだ。こんなに尊いことだったんだ……と再認識。手をつなぐ行為はものすごくシンプルだけど、何より大切な愛情表現なのかもしれません。
中盤、愛美のある告白により物語は大きく舵を切り、思わぬ方向に進んでいきます。まさに急展開という言葉がぴったり! 先日、12月17日に公開する同名映画で主演を務めた福士蒼汰さんにインタビューさせてもらったのですが、福士さんも初めて原作を読んだとき、「わあ、こんな展開になるんだ!」とすごく驚いたそうですよ。
この作品、最後まで読み終えたあと、ぜったいに最初のページに戻りたくなります。すべてがわかった上で読み返すと、「なるほど、そういうことだったのか!」と納得できるし、愛美の一挙手一投足が愛しく思えてきます。そして優しい涙があふれるのです。
本を閉じたあと、好きな人がいる人はすぐに話したくなるはず。そして、素敵なデートがしたくなるはずです! 私は「ああ、あの人と手がつなぎたいなあ……」と思いました。
Information
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(宝島社文庫)¥724
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