大原 絵理香

【サブカル好きの憧れ♡】一度は観たい “小劇場演劇” について舞台女優から直接教わってきた!

2016.11.22
サブカル好きのライター・大原が、話題のスポットを巡り紹介する連載!今回は、小劇場演劇に注目します。小劇場で演劇を観るってけっこうハードルが高い気がしませんか? そこで、現役の舞台女優・川村紗也さんから楽しみ方を2回にわけて学びます。初回は、小劇場演劇ができるまで!

小劇場で演劇を観たい!

【サブカル女子の遊び場】vol. 3

サブカル好きとしては、一度は体験してみたい「小劇場演劇」。でも、観劇って結構ハードルが高い気がしませんか?わたしはすごくハードルの高さを感じてしまい、行きたいと思ってはや数年、いまだに行けていません。歌舞伎とか演劇とかさまざまなジャンルはあるけれど、それぞれのお作法がありそうだし、特に「小劇場演劇」ってローカルルールがいろいろありそう。きっと、それがハードルの高さにつながっているんだと思います。

ちなみに当たり前のように言っていますが、「小劇場演劇」とはその名の通り小劇場で公演される演劇のこと。有名な脚本家や俳優が出演する「新劇」や「商業演劇」と比較して、「アングラ演劇」とも呼ばれています。といっても、最近だと有名な方も参加されていたりするので、決してマイナー集団っていうわけではないんですよね。

そんな「小劇場演劇」初心者のわたしが、観に行きたいー!と騒いでいると、なんと「小劇場演劇」で女優をやっている川村紗也さんから、直接楽しみ方を教えてもらえることになりました!豪華すぎる!ということで、今回から2回に分けて「小劇場演劇」についてご紹介いたします。今回は、小劇場のクリエイター視点から「小劇場演劇ができるまで」を時系列に沿って教えていただきました!

お話を伺った方、舞台女優・川村紗也(かわむらさや)さん。「生の舞台でしか味わえない醍醐味が沢山あります。映画と同様に一人でも楽しめるのも小劇場演劇の良さ。ぜひ先入観を捨てて一度観に来て下さい♡」。
お話を伺った方、舞台女優・川村紗也(かわむらさや)さん。「生の舞台でしか味わえない醍醐味が沢山あります。映画と同様に一人でも楽しめるのも小劇場演劇の良さ。ぜひ先入観を捨てて一度観に来て下さい♡」。

1.演劇の上演を企画する

まずは、「こういう内容にしよう」「こんなキャストにしよう」と発起することからはじまります。そして、その構想を企画書としてまとめ、俳優やスタッフにオファーしたり、劇場を探したり、地道な準備を進めていきます。会社みたいだ……。ちなみに小劇場演劇が行われるのは、下北沢、中野、高円寺、吉祥寺、三軒茶屋あたりが多いそう。ここは、イメージ通りですね。

2.脚本を作り上げる

脚本家は企画書をもとに、脚本を作り上げていきます。ときには、脚本が稽古初日まで完成しないことも。稽古初日からが小劇場演劇の本番なんですね。

3. 稽古初日から通し稽古まで

稽古初日は、顔合わせから。出演者・スタッフ全員で顔合わせをして、台本を最初から最後まで読む、いわゆる読み合わせをしていきます。このとき、演出家や共演者と役の心情や上演時の動き方などをすり合わせして、それぞれ自分の役割のイメージを膨らませていくそう。その後は、実際に演じてみる「立ち稽古」を繰り返し行うことで、どんどん劇ができあがっていきます。ある程度形になったら、最初から最後まで衣装や舞台セット、小道具も取り入れた「通し稽古」がはじまります。

顔合わせの様子。たくさんの方が関わっているのが分かります。
顔合わせの様子。たくさんの方が関わっているのが分かります。
通し稽古で間違えたセリフは、演出助手がメモしてくれてあとで渡してくれるそうです。
通し稽古で間違えたセリフは、演出助手がメモしてくれてあとで渡してくれるそうです。

4.ものづくり

スタッフサイドでは、通し稽古・本番までに準備すべく、超特急でさまざまなことが行われます。例えば衣装と小道具の準備。一から手作りすることもあるようですが、「小劇場演劇」は予算が潤沢にあるわけではないので、私物を持ち寄ったり、古着をリメイクしたり、レンタルしたりすることもあるそう。

たくさんの洋服のなかから、イメージに合うものを選んでいくそう。
たくさんの洋服のなかから、イメージに合うものを選んでいくそう。
フィッティングの様子。
フィッティングの様子。

5.広報活動

お芝居の創作と同時進行で、チラシを作ったり、ホームページを作ったりして、広報活動を行っていきます。また、「小劇場演劇」は近さも魅力のひとつで、出演者個人がチケットを手売りしていくことも多いそうです。大好きな俳優さんから直接買えるのは、「小劇場演劇」ならではかもしれませんね。

これ!あとで出てきますが、ポスター用の写真撮影の様子です。
これ!あとで出てきますが、ポスター用の写真撮影の様子です。
さまざまなポージングやシーンの撮影を行います。
さまざまなポージングやシーンの撮影を行います。

6.本番まで

舞台セットを設置し、照明や音楽も用い行うリハーサルが「場当たり」。その後、本番前最後のリハーサルを「ゲネプロ」といいます。この「ゲネプロ」には関係者や近しい人たちを招待したお披露目も兼ねているらしく、ほぼ本番に近い形でのリハーサルだそうです。

7.本番

いよいよ迎える本番!全員一丸となって臨みます。ちなみに聞いて驚いたのですが、「小劇場演劇」は、本番が数回しかないことも多いそう。劇団四季とかのいわゆる大きな演劇って、半年とか1年とか、それ以上かけて何度も公演しているイメージですが、「小劇場演劇」はたった数回。そのために、すごい準備期間をかけてやると思うと、観る側からするとかなりリッチな体験ですよね。

劇団によってさまざまな流れがあるようですが、基本的な流れはこのようなものだそうです。「小劇場演劇」も「新劇」や「商業演劇」同様、作り手の思いがしっかりと込められているんですね。

今回、「小劇場演劇」初心者の私に、いろいろなことを教えてくださった川村紗也さん出演の舞台『ゆっくり回る菊池』が、11月22日からはじまります。この劇は全編関西弁らしく、川村さん自身、かなり方言に苦労しているそう。全然知らない方言より、なんとなく知っている方言のほうが、表現するのは難しいみたいです。

関西弁への努力の跡がすごい垣間見える……!
関西弁への努力の跡がすごい垣間見える……!

この劇、私も初の「小劇場演劇」として観に行ってきます。この様子は、次回観客視点からご紹介しますね!

Information

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川村紗也
 1986年10月25日生まれ。東京都出身。2007年より劇団競泳水着に入団。13年の退団後はカスガイに参加。14年には「僕たちが好きだった川村紗也」を立ち上げる。

僕たちが好きだった川村紗也
『ゆっくり回る菊池』
公式サイト:http://www.boku-kawa.com/
公演日:2016年11月22日(火)〜11月27日(日)
チケット:前売り 3300円、当日 3800円、高校生以下(前売りのみ)2500円(各回数枚数限定)
※高校生以下の方は、当日受付にて学生証をご提示ください。
※未就学児童はご入場できません。
※当日券販売・受付開始は開演の45分前、開場は開演の30分前です。
会場:こまばアゴラ劇場
〒153-0041 東京都目黒区駒場 1-11-13
TEL 03-3467-2743