志村 昌美

【iPhone盗られちゃった!-イギリス編-】実録! トラブルトラベラーMasamiの事件簿 vol.1

2016.8.11
これまでに海外旅行のべ30回、海外留学3回の経験を持つライター・志村が、今回より始める新連載「実録! トラブルトラベラーMasamiの事件簿」。 現在連載中の「映画、ときどき私」でも、トラブルネタについては時折触れてきましたが、こちらでは過去に巻き込まれた海外での悲惨なトラブルの数々に焦点をあて、それを反面教師に「みなさんには安全かつ楽しい海外旅行を味わってもらおう!」という趣旨でお送りしていきたいと思います。 本題に入る前に、言っておきたいこと。それは……。

「自分は大丈夫!」と決して思わないこと!

【実録! トラブルトラベラーMasamiの事件簿】vol. 1

かつては、「トラブルなんて自分には関係ない話」と私も思っていましたが、実際はスリやひったくり、ATMで襲われるなどなど、数えきれない経験をするはめに……。

とはいえ、私は国内外問わず、そして自他ともに認める “トラブル巻き込まれ体質” として、この世に誕生してしまったということもありますが(笑)、そもそもそういう気持ちこそが狙われるスキになることもあるので、まずはその考えを捨ててください。

では、これからトラブル別に生々しい体験談をお話したいと思いますが……。

そのまえに、断っておきたいことがもう1つ。

理想はこういうイメージですが、現実は程遠い。
理想はこういうイメージですが、現実は程遠い。

本来、絵は大の苦手なのですが、そのときの様子を伝えるため、恥を忍んでイラストを随所に差し込んでいます(逆にうまく伝わらない場合もあるかもしれませんが……)。真面目に描くのは小学校以来なので、どんなに全力を振り絞って何度描いても、変わらぬクオリティ。何卒、温かい目で見てくださいませ。

ということで、記念すべき第1回目は、こちらから……。

iPhoneひったくられた in ロンドン!

まさに、自宅の最寄り駅前で事件は起きた。
まさに、自宅の最寄り駅前で事件は起きた。

2011年にワーキングホリデービザを取得して、1年半ほどロンドンに暮らしていたときのこと。その間もとにかくトラブルの連続でしたが、そのなかでも、最初の被害報告となったのは、この“iPhoneひったくり事件”!

私は、イギリス人とカナダ人の新婚カップルと同居していたのですが、ある日彼らにカレーを作ることになり、近所のスーパーへお買い物に行くことに。まだ夕方6時前後ということもあり、外も明るく、人もそこそこいたので、当然警戒心はゼロ。買い物袋を片手に、クックパッドを見ながらフラフラと歩きスマホ。

と、そのとき!

何者かの手で画面が覆われたと思ったら、iPhoneと一緒に私の手を力強く掴んできたのです! 事態が把握できないものの、本能的に「iPhoneを離してはいけない」と、最大限の力でiPhoneを握りしめたのですが、逆にそれが原因で、自転車に乗った若い男性と引っ張り合いのこう着状態。そして……。

iPhoneごと思いっきり振り回されてしまうことに!

すると、歩道にいたはずの私は、気がつけばスーパーマンばりのジャンプで、車道まで吹き飛ばされて転倒。あまりの激しい転びっぷりに犯人も私を心配して立ち上がるまで見守っていたほど(そんな優しさあるならひったくりなんかするなって感じですが……)。

何かの傷害事件かと、あたりが一瞬シーンと凍りついたのを覚えています。そして、一呼吸置いてむくっと立ちあがった私はというと……。

とりあえず、「iPhone盗られたー!」と叫んでみた!

「こんなときは、英語でなんて言うのが正解?」と頭をよぎったものの、1秒を争う状況のため、気がつけば適当な英語でシャウト! 間違いでも何でも、まずは周りに助けを求めていることが伝わればそれで十分なのです。

しかし、そんな私を見て、無事を確認した犯人はすぐに自転車を急発進! 追いかけようと走り始めたのはよかったのですが、大ジャンプの勢いで、両足の靴がすっとんでいてまさかの裸足。まさに “お魚くわえたドラ猫を裸足で追いかけるサザエさん状態” で、そのまま走ることに。

すると、なんと私の靴を持った女性とスポーツマンタイプのサラリーマンが後ろから追いかけてくるではないですかっ! いまだからその光景を想像すると笑えますが、当時は必死(みなさんもどうぞご自由に想像してください)。その優しさはありがたかったものの、やはり自転車には誰もかなわず、完全に見失ってしまい、なすすべなし。

そして、途方に暮れる私……(涙)

そんな哀れな私のために、近くにいた人が警察に通報してくれたのですが、電話ではさっぱり英語が聞き取れないし、パニック状態でどこから話していいかもわからず。結局、電話をしてくれた人が状況を説明してくれたのでした(どなたかわからないのですが、感謝です)。

そうこうしているうちに、警察が到着し、まだ近くにいるかもしれないからということで、なんとパトカーの中で事情聴取をしながら、おまわりさんと一緒にパトロール開始! 外から見ると、まるで私が連行されているみたいでしたが(笑)、イギリスのパトカーに乗れるという貴重な経験を味わうことに。

しかも、家まで送ってもらっちゃいました!

駅の近くだったこともあり、防犯カメラなども調べてくれたようですが、結局犯人は捕まらず。(涙) 「きっと、世界のどこかで私のiPhoneをかわいがってくれている人がいるはず」と自分に言い聞かせるくらいしか、もはやなぐさめる方法はありません。

ちなみに、衝撃の事件現場はまさにここです!

ショックは大きかったものの、携帯契約時に保険にも入っていたので、新しいiPhoneを安くゲットできましたし、日本で入っていた海外保険も適応されひと安心(ただ、届いたiPhoneがまさかの不良品で電源が入らなかったり、2枚入りのスクリーン保護フィルムを買ったのになぜか1枚しか入ってなかったりなど、傷口に塩を塗るようなダメ押しトラブルもいくつか発生しましたが……)。

それにしても、あんなに激しく転倒したにも関わらず、不思議と大きな怪我もなく、手のひらを少し擦りむいたくらいだったのも、不幸中の幸い。とおもいきや、実は私を守ってくれていたのは……。

なんと、スーパーで買ったばかりの長ネギ(笑)! 

というのも、道路に高校球児顔負けのヘッドスライディングをしたときに、ちょうど膝の下で長ネギがクッションになっていたようで、無残にも緑の部分がクタクタに……。でも、そのおかげで怪我がなかったので、感謝の気持ちも込めて、食べられる部分はおいしく頂きました。(笑)

ネギを食べる目的以外で使用したのは初めてでしたが、「何が・どこで・どう役立つかはわからないものだ」ということを学んだのは、まさにこのときです。

と、話が脱線したので、もとに戻しますが……。

そもそも、「人の携帯を盗ってどうするの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。国にもよりますが、海外では日本と違って、SIMフリーの携帯が主流のところも多くあります。

つまり、他人の携帯に自分のSIMカードを挿入すれば、自分の番号として使うこともできますし、スマホなら高値で売ることも可能なのです。そのため、ひったくりだけでなく、カフェなどでテーブルの上に置いていて、知らないうちに盗られたりするのもよくある話。

ちなみに、私の被害を皮切りに、なんと1週間後には同居人の夫も、さらにその1か月後にはその妻も立て続けに、街中でiPhoneをひったくられてしまうことに。いまや観光客だけでなく、現地の人でも狙われるほど被害が拡大しているようです。

なかでも、私たち日本人は最新の電化製品を持っているイメージが強く、体も細いので格好のターゲットになりがち。なので、そのことをしっかり肝に銘じておきましょう!

では、「どうすればいいの?」と思ったあなた! 

海外でスマホを使う際に気をつけて欲しいことは、まずは「歩きスマホはしない!」ということです。特に、いま流行りの「ポケモンGO」のようにゲームに夢中になりながらというのが、一番危険なので要注意! ただし、知らない土地で地図や情報を調べたいときにスマホは必須ですよね? 

いっそのこと手に縛りつけたいくらいですが、私はスマホを使う時は極力立ち止まって、壁などの近くで自分の周りにバリアを作ったり、スマホを両手でしっかり掴んで(特に上部をガードすることが大事)、体になるべく近づけるなど、取られにくい態勢で使ったりすることを心がけています。

些細なことのようですが、それを知っているのと知らないのとでは、大きな差を生む可能性もあるので、よかったらお試しください。

「日本がいかに安全なのか」ということを改めて実感!

海外に行くと、国によっては思わぬ犯罪に巻き込まれることもあるので、まずは自分の身は自分で守る方法をきちんと心がけておきましょう! たとえ、現地の言葉を話せなくても、ガイドブックに載っている例文に目を通したり、ネットで検索したりと、助けを求めるフレーズだけでも事前に確認しておくことをオススメします。いざというときに、必ず役に立つはずです!

以上、「iPhone盗られちゃった!-イギリス編-」でした。次回は、iPhoneよりももっと大事で “海外生活には欠かせないある物” を一瞬で全部盗られちゃったの回です。乞うご期待ください!