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志村 昌美

【あなたなら?】禁断の秘密を描いた衝撃作『ミモザの島に消えた母』主演俳優&監督インタビュー

2016.7.19
誰にでも必ずひとつはあるものといえば、秘密。そして、その事実を家族に打ち明けるか、それとも家族だからこそ打ち明けないか、悩んだことがある人もいるはず。そんな多くの人が経験したことのある感情に迫る話題作がいよいよ日本で公開されます。それは……。

誰にでも必ずひとつはあるものといえば、秘密。そして、その事実を家族に打ち明けるか、それとも家族だからこそ打ち明けないか、悩んだことがある人もいるはず。そんな多くの人が経験したことのある感情に迫る話題作がいよいよ日本で公開されます。それは……。

ベストセラー小説を映画化した珠玉の人間ドラマ『ミモザの島に消えた母』!

【映画、ときどき私】 vol. 43

フランスのノアールムーティエ島は、冬にミモザの花が咲き乱れることから通称「ミモザの島」と呼ばれ、避暑地として知られていた。しかし、そんな美しい島で、30年前に起きた悲しい出来事は、ある若い女性の謎の死。

その息子であるアントワーヌは、40歳になったいまでも愛する母を失った喪失感から抜け出せず、苦しんでいた。

そこで、母の身に何が起きたのか真相を突き止めることを決意する!

母の死についてかたくなに口を閉ざす父や祖母だったが、妹と恋人の協力を得ながら徐々に明らかになっていく事実。そして、ついに母の知られざるもうひとつの顔と死に隠された “禁断の真実” へたどり着くことに。はたして、アントワーヌが導き出した衝撃の結末とは……?

最初から最後までひきつけられっぱなしになる本作の裏側を探るべく、この作品に欠かせない重要な方々にお話を聞いてみたいと思います。そこで……。

主演のローラン・ラフィットさんとフランソワ・ファヴラ監督を直撃!

今年のカンヌ国際映画祭ではセレモニーの司会を務め、俳優としてもコメディアンとしても活躍しているローランさん(写真・左)と、長編3作目とともに10年ぶり2度目となる来日をはたしたフランソワ監督(右)。

今回描かれている “家族の秘密” というテーマは、監督自身にも強い関わりがあり、選んだ題材とのこと。

では、この映画を制作したきっかけは?

監督 アントワーヌと同じように、実は私も10年くらい精神分析を受けていましたが、自分にも家族の秘密やタブーというのがありました。でも、それはどの家族にでも同じようにあることだと気がついたのです。

ただ、人はそういう状況になったときに、アントワーヌのように真実を追求する人と、秘密のままにしておく人に分かれます。そこで、「なぜ人はその2種類に分かれるのか?」ということに興味を持つようになり、この映画を作りました。

秘密によって人生を台無しにされ、感情を抑えこんでいるアントワーヌには、演技の幅が広いローランさんが適役だと思い、監督は彼を想定して脚本を執筆していたという。

ご自分のために書かれた脚本を読んだときの感想は?

ローランさん 監督はそう言っているけど、実際はどうかな。(笑)
監督 本当ですよ! ローランのことを考えて書きました!
ローランさん 自分のことを考えて書いてくれたというのを聞いて、もちろんうれしかったですね。でも、同時に「もしこの脚本を気に入らなかったらどうしよう」というプレッシャーもありました。というのも、気に入らなかったら監督をがっかりさせることになるし、かといって無理やり好きになるというのも自分に嘘をつくことになるので……。でも、すごくいい脚本で、この役をやりたいと思ったので、本当によかったです。

私の家族もみんな秘密主義なので、映画を観ていて似ている部分があると感じました。

実際、ご自分の家族も秘密主義ですか?

監督 私の家族もこの作品の家族と似ているかなと思いますね。「フランスでは全部オープンにすると思っていたけど、秘密主義的なところがあって意外だった」と言われましたが、日本とフランスでは家族のあり方は違っても、共通点はあるんだなと感じました。

波風を立てないということにみんな一生懸命になりがちですが、そればかりをやっていると本質が置き去りにされてしまいます。「真実を明らかにするためには、すべてを一度壊すようなことがないといけない」と思ったので、作品の冒頭はそれを象徴するようなショッキングなシーンから始めました。フランスのことわざに、「何も言わないことの方が罪」というような意味の言葉がありますが、まさにその通りなんですよ。

苦しい思いをしたとき、どうやって克服してきましたか?

監督 私は、精神分析を受ける前はすごく人見知りでおとなしかったんですよ。それに、家族や仕事のことなど、色々なことが整理されていなかったので、自分のこともわかっていませんでしたし、他人のこともわからない状態でした。でも、そういう暗い部分に少しずつ光を当てて、この作品を撮れるまでになったんです。

なので、家族に対してモヤモヤを抱えている人にとって、本作が考えるきっかけになればいいかなと思っています。実際、この映画を観た女性が、「私の家族にはこういう秘密があるんだけど、どうしたらいいかしら?」と私のところへ相談に来たこともあるんですよ。(笑)

ちなみに、いまだから言える過去の秘密があれば教えてください!

ローランさん 実は、私は女性でした……。というのは嘘です。(笑)
監督 私に秘密はありません!(笑)

それでは、最後に日本の観客に向けて一言お願いします。

ローランさん 俳優は作品に出演することが仕事なので、うまくメッセージを伝えられないのですが、まずは作品を観てもらうことが一番だと思います。なので、ぜひ映画をご覧ください!

インタビューを終えてみて……。

張りつめたシリアスな雰囲気が漂う映画と同様に、質問には真剣に答えてくれるローランさんとフランソワ監督。

でもその一方で、早口で話しかける私の日本語が面白く聞こえたようで、逆に私が話しているところを動画で撮影をしてみたり、何を言っているかわからなくて突然爆笑してみたり、写真撮影でおどけてみせたりと、とにかく笑いの絶えない取材となりました。みなさんも、映画とのギャップをぜひお楽しみください。

心の痛みをきちんと知ることで新たな一歩を踏み出せる!

辛い経験をしたとき、多くの人はその事実に蓋をして目を背けてしまいがち。それでも、それを乗り越えるためには、たとえ深く傷つくことがあっても、一度真正面からその出来事に向き合うことのほうが、本当の意味で克服するということなのかもしれません。あなたのなかにある “消えない秘密” とは何ですか? 

作品情報

『ミモザの島に消えた母』
7月23日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
配給:ファントム・フィルム
©2015 LES FILMS DU KIOSQUE FRANCE 2 CINÉMA TF1 DROITS AUDIOVISUELS UGC IMAGES

http://mimosa-movie.com/

この記事を書いた人

志村 昌美
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映画宣伝マンを経てライターに転向し、海外ニュースや映画紹介、インタビューなどを中心に執筆。この連載では、新作映画を紹介しつつ、自身の体験談と主観満載でお届けします。 また、イタリアとイギリスへの留学経験から、現在は日・英・伊・仏のマルチリンガル目指して猛勉強中! 日々試写で観る新作の感想など、随時つぶやいてます♪ https://twitter.com/masamino_19