櫻井 智絵

【直木賞】西加奈子さんの『サラバ!』上下を、丸の内OLが読んでみた。

2015.10.11
丸の内に勤務する読書好きのOL・櫻井智絵が、自分が読んで「ああ、面白かった!」と思った本だけを紹介する連載【丸の内OLの給湯読書室】。第2回は、第152回直木賞受賞、作家生活10周年記念作品・西加奈子さんの『サラバ!』。こちらも再録になります。

【丸の内OLの給湯読書室】vol.2

第152回直木賞受賞、作家生活10周年記念作品・西加奈子さんの『サラバ!』上下、読んじゃいました♡

image4 直木賞受賞後、またもや東京駅近辺の本屋さんでは売り切れ続出(どこも下巻のみ1冊ずつある状況)。

いや待てよ、まだ下巻があるならもしかしてと思い、片っ端から本屋さんに問い合わせたら…あった!!

『サラバ!』とは?

簡単にあらすじを説明すると。

主人公の僕、垰歩の幼少期時代からはじまる。
父の転勤先イランで左足から生まれた歩には、自分勝手な破天荒な母、いつも何かしらやらかす姉、空気のような父がいた。
二度目の海外生活のエジプト・カイロでは、歩にとって一生忘れられない言葉に出会い、一生忘れられない事件が起こる・・・。
帰国後、歩は全力で街に馴染むように努力し、姉はありのままの自分を通し続けた。
その結果、本格的に家族は狂い始め、僕のすべてが崩壊していった。。。

読み終えて。

惹きつける色鮮やかな表紙のイラストは、物語の想いそのもの。

上巻の前半に、『サラバ!』の意味が登場してくるものの、本当の『サラバ!』の意味は最後の最後まで読まないと感じられませんっ!

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また、主人公の歩は生まれた時から受け身君(今で言うと草食系)。

そんな彼が幼少期の自分を振返る場面では顔はまぁまぁイケメンでも奥手な自分を猛烈にアピール。それも幼稚園のときから!

そんな男の子が東京での大学生活にて一気に羽目をはずして遊びまくったのには私の心も傷つきました(あんなにも冷静に女の子と接してきた彼がどうしてと・・・いまだに理解しにくい男ココロ笑)。

私がこの本の好きな部分は、主人公僕の人生を台無しにしたのは、自分勝手な母親や姉、空気のような父のせいではなく、本当は言いたいことをはっきり言えず、いつも感情を出さないようにしていた自分であると気づいていく場面。

大人になるにつれて言葉を選びすぎて自分の気持ちを素直に伝えにくいもの(特に恋愛面)。そんなときは、『サラバ!』からのメッセージ・・・「信じるものを見つけること」ができたら何か変わり始めるのかも♡

Information

jpeg 『サラバ!』 (小学館)上下各¥1728
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