志村 昌美

5館から2600館に…! 超話題作は逆境を味方につけた壮絶実話!

2018.3.3
最近ますます増えている国際恋愛。先日行われたanan総研メンバーへのアンケートでも、外国人男性との恋愛経験者は4割、さらに興味がある女子にいたっては7割という結果が出ているようです。そこで、これから国際恋愛をしてみたいという人にオススメの映画をご紹介します。それは……。

アカデミー賞にもノミネート『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』!

【映画、ときどき私】 vol. 148

パキスタン生まれのクメイルは、コメディアンとしての成功を夢見てシカゴで活動していた。そんなある日、ライブがきっかけで知り合った大学院生のエミリーと交際を始めることに。しかし、厳格なイスラム教徒であるクメイルの両親は、同郷の花嫁しか認めず、お見合いをセッティングされてしまうのだった。

結局、そのことがエミリーにバレて2人は破局することに。ところがその数日後、エミリーは原因不明の病に襲われ、昏睡状態に陥ってしまう。はたして、2人を待ち受ける運命とは……。

実話をもとにした本作は、全米では5館からからスタートするもクチコミで広がり、なんと2600館にまで拡大した話題作。それだけでなく、この作品で注目したいのは、クメイル役をクメイル本人が演じているところ。さらに、出演こそしていないもののエミリー本人もクメイルと一緒に脚本を担当し、自分たちの物語を赤裸々に描いています。

とはいえ、日本にいると異文化に触れる機会も少ないので、劇中に描かれている移民たちが抱える問題や異国の宗教観はなかなか理解しにくいと感じるかもしれません。特に、イスラム教に関しては、一部の情報から受ける偏ったイメージをどうしても持ってしまうという人も多いはず。

そこで今回は、私がロンドンに留学していた際のエピソードなどを交えつつ、映画の見どころと合わせてご紹介したいと思います。

イスラム教徒の結婚観とは?

まず、本作のなかでもおそらく多くの人が共感できないところといえば、同じイスラム教徒との結婚でなければ、家族と絶縁するという考え方。正直言って、私も以前は「どうしてそこまでしなきゃいけないの?」と思っていました。

でも、イスラム教徒の友人を多く持つようになり、彼らの宗教に対する真摯な向き合い方を見ていくうちに、彼らの考え方に理解するというよりも、こういう慣習がいまも根強くあるということに対する理解はできるようになったつもりです。

パキスタンで生まれアメリカで育ったクメイルのように、エジプト人の両親を持ちパリで生まれ育ったというフランス人の友だちがいますが、家族がイスラム教徒という環境で育ったため、結婚相手に求める第一条件は当然同じイスラム教徒であること。

とはいえ、彼女はお見合いではなく、イスラム教徒の男性と運命的な出会いで恋に落ち、結婚することになりましたが、そのほかにはイスラム教徒ではない相手とそのまま恋愛結婚したという例も聞きました。

若くしてお見合い結婚して幸せに暮らしている友だちもいれば、カトリック国家ポーランドで育つもアラブ人男性との結婚を選びイスラム教に改宗した英語学校の先生もいたし、母親が決めた相手と結婚することを当たり前と思うサウジアラビア人の友だちもいれば、イスラム教とユダヤ教の家庭でそれぞれ育ち家族に交際を言えずに苦悩する異宗教カップルなど、実際にさまざまなパターンを目にしてきました。

私自身も彼らに出会う前は、クメイルの母親が言うように「イスラム教は同郷の相手とのお見合い結婚が絶対」なのだと勝手に思い込んでいましたが、同じイスラム教でも宗派や国によっても異なるのかもしれないということを感じ、知ろうとする前に決めつけている自分に気づかされたのです。

同じ文化を持つ日本人同士でさえも結婚に関しては、本人だけでなく、お互いの家族のことも大きく関わってきますが、異宗教間となると、どちらかが改宗するか、それとも家族と絶縁するか、といった日本では考えることのない問題が立ちはだかることも多くあります。

本作ではそんな葛藤をリアルに感じることができるだけに、国際恋愛をしてみたい女子にとっては、興味深いところといえそうです。

移民たちの現実を知る!

そして、劇中でもうひとつリアルなシーンといえば、クメイルがパキスタン人というだけでイスラム過激派組織の「ISISへ帰れ!」とヤジを浴びせられるシーン。実は、私自身も似たような状況に遭遇した経験が……。

それは、友だちのグループと一緒にロンドン郊外の遊園地に行ったときのこと。イスラム教徒である友だち同士がアラビア語で会話をしていたところ、近くにいた少女たちが「自分たちの国に帰るべきだ」というような心ない発言をし、ケンカになりかけたことがありました。

それ以外にも、世間が持つイスラム教へのイメージによって、イスラム教徒であるというだけで彼らが苦悩や葛藤を抱えているのを感じる瞬間もありましたが、一部の過激派によって、まじめに宗教と向き合っている人たちが無駄に苦しまなければいけない現実に悲しくもなりました。

そのほか、食事に関する禁止事項や「ラマダン」と呼ばれる1か月の断食時期の過ごし方など、ここには書ききれないほど、いろいろなことを教えてもらい、無宗教の私でさえも人と宗教の関わり方を間近で感じることで、見方が大きく変わったと思っています。

なぜなら、それまでの私もイスラム教徒に対する印象は一部の報道などによって偏ったものがありましたが、そんなふうに物事の一部を見ただけで決めつけてしまうことの怖さを同時に感じることにもなったからです。

海外生活では私自身もアジア人ということで差別された経験も多少ありますし、海外における日本に対する事実とは異なるイメージに驚かされることもよくありました。でも、そこで気づかされたのは、そのときに感じた嫌な思いは、自分が相手に向けているものと同じだということです。

とはいえ、お互いをすべて理解しようと思ってもできないものがあるのも当然のこと。私たちが異国の文化に疑問を感じるように、たとえば、キリスト教徒ではないのにクリスマスを祝い、結婚式も教会でするのに、お正月には神社を参拝し、葬儀はお寺で行うような私たち日本人の慣習も、彼らからすれば理解できないかもしれません。

もちろん、ここまでのエピソードはすべて私が経験し、あくまでも私自身が感じたことなので、ほかの人には違って見える可能性もあるでしょう。だからこそ、自分の価値観だけに当てはめて物事を判断するのではなく、まずはほかの文化に触れることの大切さを知ることが必要だと思っています。そういう意味でも、文化の違いをシリアスではなく、コミカルに描いている本作は、誰が観ても楽しめるストーリーにもなっているので、ananweb読者の女子たちにもイチオシの作品です。

相手を思う気持ちを信じれば、逆境にも打ち勝てる!

お互いの気持ちが第一優先ではあるものの、クメイルとエミリーのように国際恋愛では必ず向き合うことになる文化や宗教観の違い。その “最大の難関” を乗り越え、お互いに歩み寄れるかどうかは、国際恋愛においては切っても切り離せないものだと感じるはずです。

というと、「大変そうだから、国際恋愛したくない」という声も聞こえてきそうですが、そこには文化の違いを楽しむおもしろさがあるのも事実。しかも、普通なら経験しないような問題にぶつかることも多いだけに、それを克服したときは、より固い絆で結ばれるともいえます。そして、何よりも “真実の愛” にはそれを乗り越えるだけの価値があるというもの。

国際恋愛で起きるであろう問題を突き付けながらも、愛が起こす奇跡に笑いと涙でいっぱいになる本作。観終わったあとは、「やっぱり国際恋愛してみたい」と思うようになるかも!?

思わず笑みがこぼれる予告編はこちら!

作品情報

『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』
全国公開中
配給:ギャガ
©2017 WHILE YOU WERE COMATOSE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
http://gaga.ne.jp/bigsick



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