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田代 わこ

【夏のキモエロ♡】ベルギー発、ちょっとヘンなアートを見てきた!

2017.8.15
渋谷で開かれている『ベルギー 奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで』展。タイトルからしてタダならぬ雰囲気ですが、実際に行ってみると…想像以上にヘンな作品がいっぱい! キモいのエロいのグロいのからユニークなものまで、充実のアートがそろう展覧会をレポートします!

渋谷で開かれている『ベルギー 奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで』展。タイトルからしてタダならぬ雰囲気ですが、実際に行ってみると…想像以上にヘンな作品がいっぱい! キモいのエロいのグロいのからユニークなものまで、充実のアートがそろう展覧会をレポートします!

『ベルギー奇想の系譜』展へ!

【女子的アートナビ】vol. 81

『ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで』が開かれているのは、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアム。

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上の写真は、7月下旬に行われたプレス内覧会で撮影しました。

今展では、中世から現代まで、総勢30名の作家による約120点のベルギー美術が集結。ボス派からブリューゲル、ルーベンスにマグリットなど、スター作家たちの作品をまとめて見られるワクワクの展覧会です!

まずは、キモい系のスター作品から!

会場では時代順に作品が並んでいるので、まずは15~17世紀のフランドル絵画から展示がはじまっています。入り口を通って少し進むと、ヒエロニムス・ボス工房作の超目玉作品《トゥヌグダルスの幻視》が登場!

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一見してヘンな絵です。中央にある巨大な頭部の前に大きな桶が置かれ、そのなかには裸の男女。周囲には、首を落とされた人間や動物、怪物のようなものまで描かれています。この絵の主人公は、左下に描かれている赤い服をきた男性トゥヌグダルス。ここでは彼が眠っている間に巡った地獄の様子が表現されています。

15世紀半ばに生まれたヒエロニムス・ボスは、現存する作品がわずか40点ほどしかないという説もある謎多き画家。悪魔や奇妙な怪物などさまざまなキモい系のキャラクターを作品のなかに描きこんだことでも知られています。彼のアートは一度見たら忘れられないほど独創的。ブリューゲルなど後世の画家たちにも強い影響を与え、さらに現代まで描き継がれているため、ボスはベルギー美術における「奇想の系譜」の原点といわれているそうです。

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また、ピーテル・ブリューゲル(父・1525/30-1569)の原画による版画作品もありました。キリスト教の教えや教訓を伝える版画ですが、これらにもボス風のキモい系キャラクターが多数登場!

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こちらは《魔術師ヘルモゲネスの転落》に出てくるキャラクター。インパクトが強すぎます。

次はエロい系♡

続いてエロい系で取り上げるのは、フェリシアン・ロップス(1833-1898)の原画による銅版画作品《娼婦政治家》。黒いストッキングと手袋を身につけた裸の娼婦と大きな豚が描かれています。女性は目隠しまでされていて、なんともエロチック。でも、この作品にはたくさんの皮肉が込められています。

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まず、娼婦と豚。これがなにを意味しているかわかりますか? 食欲と性欲の本能しかないものの象徴なんだそうです。さらに、足もとに「彫刻」「音楽」「詩」「絵画」と書かれた擬人像がありますが、女性も豚もそれらを踏みつけています。これは、彼女らが芸術を理解していないという意味。そして、タイトルは《娼婦政治家》。つまり、この女性は欲に目がくらんでいる政治家を表しているそうです。

ちょっとコワい系も

ちょっとコワい絵もあります。例えば、ジャン・デルヴィル(1867-1953)の《赤死病の仮面》。本作は、赤死病という架空の疫病が広がる世界を舞台にしたエドガー・アラン・ポーの同名小説に基づいて描かれたもの。死に装束の男がじっとこちらを見据えていて、何とも恐ろしい作品です。

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デルヴィルは、目に見えない幻想的な世界を追い求める「ベルギー象徴主義」に属するアーティスト。画家としてだけでなく、文学にも関心をもつなど多方面で活躍し、ベルギー王立美術アカデミーの教授も務めました。

このほか、会場では現代アートも展示されています。著作権の関係で会場での写真撮影はNGでしたが、ポール・デルヴォー(1897-1994)やルネ・マグリット(1898-1967)、ヤン・ファーブル(1958-)など人気作家の作品もたくさん見ることができますよ!

ベルギーからアーティストも来日!

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また、プレス内覧会では特別ゲストとしてアーティストのトマス・ルルイさんが登場! 作品の前でフォトセッションが行われました。

左がトマス・ルルイさんで、右はキュレーターでアーティストのエリック・ワイスさん。(著作権の関係で画像の一部をぼかしています)

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ルルイさんのブロンズ作品《生き残るには脳が足らない》は、体などの各パーツはギリシア彫刻のような雰囲気ですが、頭がおそろしく巨大。しかも重すぎるようで、地面に落ちています。本作について、彼は次のように語っていました。

「アーティストというのは常に考え、決めなければいけません。いろいろなものの中から何を取り上げるのか、選択もしなければなりません。これは、とても難しい作業です。朝昼晩ずっと考えてばかりいるので、頭がどんどん大きくなっていくのです。この彫刻は、重い頭をどうしようかと悩んでいる、そういう人を表現しました」

いかがですか? 現代のベルギー美術もヘンでおもしろいですよね! 最後に、この展覧会で最も衝撃を受けた作品、レオ・コーペルス《ティンパニー》の紹介動画を載せておきます。(音が出ますのでご注意ください)

逆さに吊るされた骸骨が奏でるティンパニーの音、かなりシュールです。実際に展示室でも動画と同じようなパフォーマンスが時折開催されています(※詳細はHPをご覧ください)。ぜひぜひ会場で、楽しんでみてくださいね!

Information

会期:~ 9月24日(日)※休館日8月22日(火)
時間:10:00 ~ 18:00(金・土曜日は21:00まで) ※入館は30分前まで
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
料金:一般 1,500円/大学生・高校生 1,000円/中学生・小学生 700円

公式サイト

この記事を書いた人

田代 わこ
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出版社勤務を経て、フリーランスのライター・エディターに。主にエンタメ系コンテンツ記事を執筆。趣味は美術鑑賞と絵を描くこと。ananwebでは「カメラマンが教える! いいね! がつくスマホの撮影テク」も連載中です!