志村 昌美

ヘンテコ家族がアツい! 涙と笑いが止まらない感動作『はじまりへの旅』!

2017.4.5
4月に入ってから、新しい環境に変わったり、新しい人と出会ったりすると増えるものといえば、自己紹介の機会。そんなとき、自分の生い立ちや個性について改めて考える人も多いはずですが、あなたは自分が普通だと思いますか? というよりも、そもそも「普通って何だろう?」と思った人にオススメの作品をご紹介します。それは……。

型破りな最強ロードムービー『はじまりへの旅』!

【映画、ときどき私】 vol.84

アメリカ北西部にある森の奥で暮らしていたベンと6人の子どもたち。独自の教育と訓練で鍛えられていた子供たちは、アスリート並の体力を持ち、全員が6か国語を操るまでになっていた。

ところが、そんなある日入院中の母の訃報が届く

一家は葬儀に参加し、母の最後の願いを叶えるために、2400キロの旅に出るのだった。しかし、これまで現代社会に触れることなく育った彼らは、コーラもホットドッグも知らない世間知らず。そのため、旅の途中でさまざまな困難に見舞われてしまうが、果たして無事に母の思いを叶えることはできるのか……?

主演ヴィゴ・モーテンセンがハマり役すぎ!

全米ではわずか4館から口コミで600館まで拡大されるほどの人気を誇り、世界中の映画祭も盛り上げてきた話題作ですが、主人公のベンを演じたのは、本作でアカデミー賞主演男優賞にもノミネートされ、私も大好きな俳優のひとりであるヴィゴ・モーテンセン。惜しくも受賞は逃したものの、オスカーに匹敵するほどの熱演と持ち前の魅力全開にはとにかく釘付け!

その昔、私が映画宣伝マンだった頃に、彼の主演作に携わったことがあり、約7年半前に来日した際には間近で会えるという貴重な経験もありましたが、そのときを振り返って思うのは、役者としてだけでなく、人柄もオスカー級! 

というのも、実はそのとき日本行きの飛行機にうっかり乗り遅れてしまったヴィゴ。しかし、スゴイのはそのあとで、自らチケットを急いで手配し、ハリウッドスターにも関わらず、同行者もなく1人で来日してしまうという気さくっぷり。

しかも、到着後から休む間もなくひっきりなしの取材で誰よりも疲れているはずなのに、それでも忘れないのは周りを気遣う優しさ。その姿にすっかり虜になってしまったのはいうまでもありません。

と、映画から少し脱線しましたが……、そんなかっこよすぎるヴィゴが今回演じたのは、かなり風変わりな父親。でも、子どもたちや妻を思う愛情の深さと憎めない不器用さには誰もが心を揺さぶられてしまうはず。

突き刺さるセリフに涙腺が崩壊!

なかでも、ラストシーンの妻への別れのセリフには、思わず涙で前が見えなくなるほど。もし私が人生の最期にあんな言葉をかけてもらえたら、「この人と出会えて最高の人生だった」と思い残すことなく旅立てそうなくらいです。

母親の最後の願いを叶えようとひたむきな子どもたちと、妻への愛に溢れる夫が生み出す美しすぎるシーンはぜひお見逃しなく!

そして、もうひとつのテーマ「普通って何?」

こんなにも個性豊かな彼らを見ていると考えずにはいられないのが、「普通であることは大事なのか?」ということ。私たちは社会に出ると、つい周りと一緒にしようとか、普通になろうとしてしまいがち。もちろん、他人と生きていくうえで、順応性や常識は必要ではあるし、誰かに迷惑をかけてはいけないけれど、それと「普通でいなきゃいけない」というのは別の話。

だからこそ、「普通=他人と同じでいる」ではなく、自分らしく自然でいることの方が大切だと感じるはずです。みんなが同じで普通でいることほど、つまらないことってないですよね? ある意味、その究極の姿でもある彼らですが、そこには自らの力で生きる強さがあり、それこそいまの私たちが学ぶべきところなのかもしれません。

自分は自分のままでいい!

親子の絆や夫婦の愛、そして自分らしくいることとは何かを教えてくれる感動作。これがあなたの人生にとっても、“はじまりへの旅” となるかも! いますぐ、ヘンテコ家族と一緒に旅立ってみては?

新たな扉を開いてくれる予告編はこちら!

作品情報

『はじまりへの旅』
大ヒット上映中!
配給:松竹 
©2016 CAPTAIN FANTASTIC PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

http://hajimari-tabi.jp/